友
部活終了後、部室に入った俺を待ち受けていたのはお節介な親戚のような笑顔を浮かべた菊丸先輩だった。
「でもまさか海堂に彼女ができるなんてにゃあ〜……」
「コラ英二、あんまりからかうんじゃないぞ。ところで海堂、お相手はどんな子なんだ?」
「大石も十分踏み込んでるよ!」
河村先輩の制止によって、二人はにやにやと引き下がる。桃城を睨むとペロリと舌を出して謝る素振りをした。
俺は先輩たちの好奇の目を掻い潜り、素早く制服に着替え部室を出た。ほぼ同時に桃城が出てきて、真面目な顔をしながら俺の肩に手を置く。
「何だよ」
「お前は本当に素直じゃねーよな」
「何だと?やんのか」
「ちげぇよ。舟橋はお前のそういうところ引っくるめて好きなんだと思うぜってこと」
「舟橋が、俺を……」
「それにお前がどう答えるかはお前次第だからな。俺に意見を求めても、解決にはならねぇんじゃねーの?」
桃城の言うことは正しい。これはあくまで俺の問題で、判断をするのも俺だ。
「お前に諭されるのは癪だが」
「ああん?」
「……その通りかもしれねぇな」
橙色の夕日が影を落とす。グラウンドの照明に明かりが灯り、俺の決意を促していた。
「フラれたら慰めてやるよ」
「そんなもんいらねえよ」
桃城に背を向けて歩き出す。回り道をした分、急いで彼女のもとに向かった。