せめて食べる側でありたかった



人の体に配慮も遠慮もなく腰をうちつけてた男、V.Tフロイトを思わず睨みつける。反射で漏れる声はともかく、気持ちのいい喘ぎがたまにでそうになったのが腹立たしい。
どうにも体の相性がいいようだと思うが、口にはしない。目の前の男を喜ばせるだけだからだ。
汗で張り付いた髪をかきあげるようにしながら、見下ろしてくるV.T。すがめられた目は今しがた人の中に出したばかりだと言うのに、ギラついている。完全に獲物を見る目だ。ACに乗って、強いヤツと戦っている時、きっとこんな目をしてるんだろうなと何となく思った。

「足りないな」

舌なめずりをして、再度腰をつかもうとしてくる手を叩いた。非難を込めて。

「休憩、させてください」
挿入したこのままでいいなら」
「一旦抜いてください」

起き上がろうとしても押さえつけられる。
お互い強化手術をしてなくて、私の方が横になった状態だったら、性差もあって呆気なく私は押さえつけられる。その際にスプリングが少し軋む音がした。立て続けに、V.Tは私に覆い被さる。中に入れたままのその行動は、少し中で当たる角度が変わる。
同時に中でV.Tのモノが再び大きさと固さを保ちつつあるのが、いやでも伝わってくる。

「ヴェスパーワ、」
「名前で呼べ」

命じるように言いながら、私の瞼、頬、唇にキスをしてくる。一方的に降り注いでくるそれ。キスをしつつゆるゆると腰を動かしながら、乳輪を指先でなぞるようにしてくる。──今日初めてシラフの私とセックスしたというのに、どういう触り方がいいかとか、もう把握しつつあるらしい。
本当に、腹立たしい。

「いやですよ、そんな、恋人みたいなこと」
「なら、なれば問題ないな。今日からお前は俺の恋人だ」

耳の中に、V.Tの舌がねじ込まれる。
耳殼を確かめるように舐る舌の動きと唾液の感触に思わず肩を竦め逃げようとするけど、覆いかぶさってきてる男が許すはずもない。
肩を押そうとしたら腕は絡め取られ、シーツの上に縫い付けられる。
粘膜の音が耳の中に響いて、ゾクゾクする。

「耳も弱いのか」

低く、愉しげなV.Tの声音。
熱を帯びているその声に、休憩する時間はもらえなさそうだと、諦める。
諦めたのを私の体の力加減で察したらしく、V.Tは上体を起こす。相変わらずいれたままだし、腰にすぐ手を回してガッツリ掴んで、私を見下ろしてる。
見下ろしてくるのは、捕食者であり、雄の瞳だった。
戦闘以外の業務だと平坦で色を感じさせないのに、この男もこういう行為だとこうなるのかと、1回目でさきほど思った。

「まだ、夜は続く。朝まで付き合ってもらうからな」
「確定事項なんですか、いやです」

拒否や抵抗は無意味。だって、この男は無視をするから。
それでも意志を示しておくのは、なけなしの抵抗だ。

多分、そう…今日、めんどくさくなって体を許した時点で、私は今後もこういうことをこの男とするんだろうなと覚悟をした。

そしてV.Tの宣言通り、本当に朝まで抱き潰されることになったのは、言うまでもない。性には淡白だと聞いたのに、嘘だったと思ってさめざめ泣いた振りをしてたら、「こんなにヤッたのは初めてだ」と少し疲れた感じがありながらも、ツヤッツヤなV.Tから言われた。
泣いたふりだけど少しは気にしろと思った。

(あーあ、困った…ヤらせるのは、早まったかも)

食われる側より、食う側であればまだましだったかな?でも、後の祭りだなぁと抱きしめられながら思った。



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