太刀川慶と年下同期の日常 その4
なまえは太刀川の両親と会ったことがないが、お中元を貰ったりはしてる。太刀川が進級できたことをいたく喜んだ太刀川の両親が理由を聞いた際に、太刀川が「勉強面で世話になってる奴がいるから」と言ったため、太刀川を通してお礼の品を貰ったのが始まりだった。
そんなことをしてもらうようなことはしてないと最初は断ったが、迅から「いや、充分されるようなことしてるから貰っといた方がいい」、二宮からは「むしろ謝礼金を貰ってもいい位だ」と言われたので、太刀川の両親の気持ちを汲むのも兼ねて受け取った。
余談だがお礼状を太刀川経由で渡したときに、太刀川の両親は自分の息子の勉強の面倒を見てくれてる人物が女性だと知り、今度はお詫びの品と手紙が届いたのでなまえは驚いた。
今なおそういったやりとりは続いていて、最近は夕飯までお世話になっているそうでとまたお詫びの手紙と品が太刀川経由できた。
「太刀川さん……もっとしっかりしましょう?なんか私が、いたたまれなくなる」
「前よりはちゃんとしてるだろ」
「最低限のことをするようになっただけじゃないですか」
本当にいつかご両親が泣くんじゃないかなと、なまえは会ったことのない太刀川の両親を慮った。
「そういや、今度親がお前連れてこいって言ってたな。直接お礼とかしたいって」
「そこまでされるようなことは……」
「付き合ってないって言ってるんだけど、ここまで面倒見てもらってるのにそんな不誠実なこと言うなって言われたから、直接会ってお前からも否定してくれ」
「会いましょう」
なんで太刀川の両親の中でそういうことになっているのか問いただしたいが、太刀川に聞いたところで分からないだろうとなまえは思った。
常識的に考えればなまえの行動は交際している人間のそれであり、太刀川のなまえのもとに(勉強面のこととはいえ)通う頻度は彼氏のそれだと言われても仕方がないのだが。当人たちにその意識はないから、周囲との齟齬が発生してる状態である。
そして否定したらしたで太刀川の両親が、「付き合ってもいない後輩の女の子にここまで面倒みさせてるなんて」という風になるのだと、2人とも気づいていないのだ。
「お前の都合に合わせるって言ってたから、都合いい日分かれば連絡くれ」
「わかりました。……ところで、そのクッションは?」
「俺が休憩の時に使うために持ち込んだ」
「……」
我が物顔でなまえの家のソファーに横になり、持ち込んだクッションでくつろいでいる太刀川。もう何も言うまいと思ったなまえだった。
「しかし、お前んちいいよな。大学にも本部にも近いし。俺もこういう立地がいいとこで一人暮らししてみたいな」
「太刀川さんが一人暮らしなんてできるとは思えないし、これ以上ご両親の心労増やしてどうするんですか?」
「お前も大概俺に遠慮がなくなってきたよな?」
「太刀川さんが私にもう少し配慮してくれるようになったら、私だって対応変えますよ」
この人そのうち着替えとか置き出しそうだなと若干思ったが、さすがにそこまではしないだろうと考え直したなまえだった。