ごちゃ倉庫

02/10

◎僕のヘタレなお義兄様





【ヘタレ】とは…。

情けのない人、いくじのない人。




嗚呼


まさに僕の恋人のお兄ちゃんの事である…。



「お兄ちゃん…」

僕は上目遣いに可愛く義理のお兄ちゃんである雄一おにいちゃんを見つめた。


この雄一お兄ちゃんは新しく出来た‘ママ’の子供。僕より年上。

つまりは、僕の義理のお兄ちゃんなんだ。



「雄一お兄ちゃんvV」
「鈴君…」

僕は今お兄ちゃんにメロメロ。
ほんと〜に、格好いいんだよ!
顔とか体とか下半身とか!

それにお兄ちゃんも僕にベタボレでね、かなり甘やかしててくれるの!

休みの日には一緒にお風呂入ったり…一緒の布団でお昼寝したり……


あ、今の話聞いて僕とお兄ちゃんとの事もっと知りたくなった?

知りたくなったよね?


うんうん、じゃあ教えてあげるね!

あ、いいよなんて遠慮は言わないでよね。
せっかく僕が話すんだからさ!




えっと…確かお兄ちゃんが出来る前、1人っこだった僕は大好きだったパパが再婚することになり、少しブルーになっていたんだ…。


だって僕以外にパパを‘パパ(はーとv)’と呼ぶなんてなんかパパが取られた気分になるし。


あ、自分で言うのもなんだけど、僕凄く‘嫉妬心’とか凄いんだよ〜。
好きな玩具とか絶対他人に触らせないし、壊れるまで遊ぶくらいだからね。


だからパパから再婚して新しいお兄ちゃんが出来ると聞いたときは…
言いようのない闘争心が湧き上がってきた。

愛すべきパパを実の息子から取られるか取られぬべきか…云々な話になるからね。


もしも…

もしも僕より可愛い子が、お兄ちゃんなんかになったりしてパパにいちゃこらしたときには…



問答無用でイビル・鳴かせる・犯る


なんて密かに思っていたんだよね。


あは。






あ、そこひかないで。ひかないで。

半分は冗談だからさ。

半分はね。





ちなみに
僕のパパはまだ若くって顔はトレンディー俳優みたいな顔をしているんだ。
セクシー&ダンディー!

僕がファザコンになっちゃう訳もわかるでしょう?もちろん、ファザコンの僕は新しいお兄ちゃんが出来るうんぬんの前に再婚には反対したよ。


新しい‘ママ’をパパから紹介された時、パパに見つからないようにこっそりいびってわがままいって…。



だけど結局は僕の力なんて微々たるもの。
新しいママはなかなかしたたかな女で、僕の嫌がらせもひらりと交わし、なおかつ僕と仲良くしたいといってきた。


結局僕の願いむなしくパパは新しいママと再婚することになったのだけど。


こうなったら新しく出来るままの連れ子、僕の義理兄ちゃんをギタギタに遊べるように少し鍛えておくか…と僕は打倒ママからおにいちゃんに標的を変え、‘新しいお兄ちゃん’に会う前は密かに体をきたえていた。



あ、僕こんな性格しているんだけどね、実は結構ほっそりとしていて一見すると‘守ってあげたい’受け(抱かれる)要素が漂っているらしいんだよね。

ん?
なんで僕が受けなんて専門用語知っているのかって?

それは…まぁ企業秘密ね。


どうやら僕は細身で一部の女の子よりも儚げな感じが漂っているらしい。
実際は細腕でもかなり筋肉ついているんだけどね。

それこそ同い年くらいだったら軽く押し倒せるくらいには…ね。


そんなこんなで僕は鋼の肉体をさらに磨き上げ、打倒新しいお兄ちゃんに燃えていたんだけれど…





実際にパパからおにいちゃんを紹介された日、僕ははっきり言って驚愕した…。


‘かっこいい’
この面食いの僕が、思わず叫んでしまったほどだ。

もうビビビっと電流が落ちてきた感じで僕はお兄ちゃんに釘付けになった。
雄一おにいちゃんの優しそうな眼、そしてきりりとした顔!


まさに僕の理想の男だったんだ。


今までパパに育てられ、ママに捨てられた僕は女嫌いでパパ命!だったんだけどお兄ちゃんを見た瞬間、あっさりとお兄ちゃんに鞍替えした。



うん、やっぱり若い肉体のほうがいいよね。

一緒にいた月日よりも大事なのは顔と体と年だよね。

うん。



あ、ちなみに僕は12歳。
小学6年生。

雄一おにいちゃんと僕は4つ違いなんだ〜

雄一お兄ちゃんは16歳の高校一年生。

体は見た感じパパより5センチ低い178くらいかな。


筋肉が程よく引き締まっていて実に美味しそ…いや、かっこよかった。







**********************


「お兄ちゃん、僕ね、ちゅうしてほしい」


僕はソファーで寛ぐお兄ちゃんの膝にちょこんと乗り、お兄ちゃんの首に手を回し甘える。

猫のように可愛く可愛く…。


もちろん、この可愛さを全面的に出した仕草は全て計算したもの。

本当の僕は…酷く我侭。

いわゆる‘小悪魔’なのである。

でも大好きなお兄ちゃんの前では天使という大きな猫を被っている。


う〜ん。僕って健気だよね。



「鈴君…あ…」僕はちゅっと素早くお兄ちゃんの唇を奪った。

僕が触れた瞬間にびくびくと動く姿もヘタレなおにいちゃんらしくて凄く可愛い。



「お兄ちゃん…して?」

僕は斜め45℃丁度斜めライトアップされる位置に小首を傾げる。

ちなみにこれは僕の長年の研究で発見した、僕が一番可愛く見える位置なのである。

この僕に見つめられたらどんなヘタレだって堅物だってヘテロだってみんな僕にメロメロになってしまうんだ。


ふふふ…



だからさぁ!!
お兄ちゃん僕をめちゃくちゃにして!!


僕はずずずずいっとお兄ちゃんに顔を近づける。



お兄ちゃんは一気に顔をりんごのように真っ赤にさせ、少しの間狼狽していたが僕がじっと見つめ続けていたおかげか意を決したように僕の肩にそっと震える手をかけた。




「お…おにいちゃん…」


ん…
お兄ちゃん肩に置いた手、力入りすぎてちょっと痛いんだけど…。

ま、いっか。
そういう初心なところも可愛いんだよね。


ふふふ…




「鈴君…俺、俺も君が…君が好きだよ。キスしたい…」


「うん…」

だからしろってば。

このヘタレがっ!

明らかに誘っているだろう!?


…こほん



「して…?」「鈴君…」
お兄ちゃんは僕の上目使いが効いたのかゆっくりと僕に顔を近づけてきた。

お兄ちゃんの長い睫が近距離で見える。


僕の肩に置かれた手は最高潮に力が入り…。




さぁさぁ…激しいキスをして!

そして、その先も…!?


お兄ちゃんは僕の顔を見、にこりと笑い



「んっ…」


ちゅっっと軽く唇に触れた。










……




…………?








これだけ?


僕はお兄ちゃんを見つめる。



ほら、

僕が誘っているんだよ?


ほらほらほら…



情けねぇっ。

このヘタレがぁっ。





お兄ちゃんは膝の上で甘えている僕の脇に手をいれ、僕を子猫のように持ち上げる。




「もう寝ようか…?鈴君」

寝る…?


「お兄ちゃんも一緒に寝てくれるの?」

「あ…あぁ」

ちょっときょどりながらうなずくお兄ちゃん。



寝る…

ネル…


ヤル…!



僕は眼を輝かせ僕を抱っこしているお兄ちゃんに擦り寄る。

その姿またたびもらってメロメロな猫のごとく、だ。
お兄ちゃんはお兄ちゃんの寝室にいき、そっとベットに僕を下ろした。



そして電気を消すために一瞬僕の元を離れる。




…さて、どうやって誘うか…。

ここは小悪魔的に何でもないって顔をした方がいいのか。

それとも可愛く震えていた方があのヘタレがヤル気になるのか…。

う〜ん…


僕が考えを張り巡らせたいたところで、電気を消し終わった問題のお兄ちゃんが帰ってきた。


「鈴君…」
「お兄ちゃん…」

僕はそっと目を閉じる。










目をつぶってカモーンな状態なのに…




何も起こらない…



なぜ!?



僕はちらりと隣に寝ているお兄ちゃんを見る。

お兄ちゃんは僕の気持ちもまるっきりわかってないのか、にこりと笑いながら
「どうした?寝ないのか?」
なんて言ってくる。







……



このヘタレがぁぁっ。


…そうだよね。

ヘタレなお兄様がまだ小学生の僕をいきなりどうこう…とか天地がひっくり返っても無理な事だったよね…。

少し期待した僕が馬鹿だったな。


僕は深いため息をつき

「お兄ちゃん、手をつないで?」
と頼む。

手ぐらいならいいよね?まずは些細なスキンシップから徐々に慣れさせていけば。


僕は大きな骨ばった男らしいお兄ちゃんの手をぎゅっと握り締める。



握り締めたお兄ちゃんの大きな手は暖かくて…


僕はすぐに眠りに落ちた。





いつか鳴かせてやる。

押し倒す…


陥落させてやる。
そう、ひっそりと思いながら…。
<雄一side>


鈴音が眠りについた頃…


兄である雄一はねっとりと鈴音を凝視していた。


それはもう、ねっとりと…なのである。



「鈴…可愛すぎだ…。

この膝っこぞうも真っ赤に膨らんだ薔薇のような唇も…」


雄一は鈴音の顔を見ながらうっとりと言葉を零した。




この雄一、ヘタレではなく実はかなりの変態が入っていたりする。
それも頭に‘ど’がつくほどの変態だ。

お互いがお互いの本性を知るのは…
いや、知らぬが仏なのかもしれない。


雄一は寝ている鈴音にそっとキスを落とした。




可愛い実は小悪魔な弟とヘタレで実は変態な兄。




二人の日常はきっとずっと甘い…



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