ごちゃ倉庫
◎腐女子の弟。お姉ちゃんの陰謀@
2011-7-1 10:38
腐女子の弟。お姉ちゃんの陰謀@
タラシ×強気。
手に入れられないものはなかったし、これといって欲しいと思う事もなかった。
君に、出会うまでは。
君を欲しいと思うまでは。
「…ごめんね。君はとても魅力的だけど…僕は優柔不断だから。君みたいな人を僕一人が縛る権利なんてないと思うんだ。だから…」
ひどくすまなそうな顔をして、彼女を見据える。
彼女は眉をよせ、僕の言葉を不安な顔をしながら待つ。
「だから、別れよう」
そう言った途端、彼女は目から滝のようにダラダラと涙を零した。
まるで、なにかのドラマみたいに、うわっ、と溢れる涙。
馬鹿みたい、とどこか一戦を引いて見ている僕は悪い男なのだろうか。
泣き顔にくらっとくる男もいるらしいし、涙は女の武器とも言われるけど…僕からしたら鬱陶しいだけだ。
不快指数がムクムクと上がりそうになるのをなんとか留め、笑みを作る。
こういう女々しい女は早く切るに限る。
それが今までで学習した事だ。
最近束縛キツクなってきたしね。
僕を自分のものみたいに扱いするようになったんだ。
一度寝たくらいで。
この程度の女、僕の周りにははいてでもいるのに。
こういう女が1番面倒だ。
「ごめんね」
「いいの、私、あなたが浮気していても。私信じているから…だから」
彼女は必死に言い募り、僕を引き止める。
ああ〜、面倒だな。
僕は君が好きじゃないって言っているのに。
この女、身体は極上だけど、少し頭がお花畑なんだよな。
自分本意っていうか。
いまだってきっと、悲劇のヒロインに浸り、僕を引き止めている筈だ。
まったく。
「ごめんね…僕なんかより君にはきっといい人が見つかる」
「…でも…」
「早くこんな悪い男なんて忘れて…もっと楽しい恋をしなよ」
なんて、心にもない事を言ってみる。
どこの三文芝居だろう。
自分で自分の言葉に呆れる。
しかしオツムの軽い彼女は僕の演技に騙されて、別れに承諾してくれた。
ほんと、簡単な女だ。
僕が勘定持つから別れが辛くなるからここで別れよう、と言うと、彼女は承諾し席をたつ。
離れがたいのか、しばらくじっと僕を見つめ…
「また…連絡ちょうだいね…」
と言った。
「わかった…また…」
もう会うこともないけれど。
僕がニッコリと微笑むと、彼女は安堵し、肩を下げて、僕に背をむけ店の外へと消えた。
「ふぅ…」
ため息を一つ。
ほんと、面倒な女だった。
今年になって、何度こうやって別れただろう。
ひぃふぅみぃ…と指を折って数え…ちょうど片手いっぱい折ったところで虚しくなって辞めた。
僕っていう人間は、常に女がいて、いつも軽い恋愛ばかりしている。
自分でも虚しいな…ってちゃんと理解しているけれど。
ーピルルル
ポッケに入れた、携帯電話が震える。
「…?…まゆこ…?」
ポッケを漁り携帯を取り出して着信画面を見ると、先週逆ナンしてきた、女の名前が印されていた。
そういえば、携帯取られて、赤外線通信やられたんだっけ。
結構気が強そうな、頭も良さそうな女だった。
今日の女と違って。
「もしもし?」
「…あ、俊一?あたし」
「あぁ…」
あたしって誰だよ…。
そういう間柄じゃないだろ…。でもそとづらのいい僕はそんな事おくびにも出さない。
「まゆこ?」
「うん。あのね、いきなりなんだけど、あたしと付き合わない?ごめんね、いきなりで…」
ほんと、いきなり。
僕らが出会ったのもついこの間だし、まだ数回しかあってないのに。
まぁ、でも…
2011-7-7 19:25
腐女子の弟。お姉ちゃんの陰謀A
「俊一?」
「…いいよ」
「ほんと!」
「うん、今、フリーだからね。
まゆこかわいいし…」
そう、誰かと付き合うなんてただの暇つぶしだから、さ…。
「付き合うよ、うん。これから宜しくね。」
「う、うん!まさかOKもらえると思わなかったからめっちゃ嬉しい!ありがとうね」
「そんな大袈裟だなぁ…」
いつまで付き合えるかわからないのに。
今回はどれくらいもつかな。
また記録を伸ばしてしまうかもな…。
「じゃあね、えっと…好きだよ、俊一。俊一は…?」
「…うぅん、まだよくまゆこの事知らないけど…でもきっと好きになると思うよ。って答えじゃ、駄目?」
「…い、いいよ…、もう口が上手いんだから。これから宜しくね」
「うん、宜しく…」
顔もよく覚えていない女と付き合う僕は…下半身軽いと詰られるだろうか…。
「ふぅ…」
携帯を切り、髪をかきあげ視線を宙へとやる。
なにか、楽しい事ないかな…。
なにか物足りないんだ。
いつも、いつも。
金も女も就職も満ち足りているハズなのに。
「最悪だな…お前」
固い、嫌悪混じった男の声。ふと振り返ると…そこにはほっそりとした身体の、ややつりめの勝ち気っぽい瞳をした男の子。どうやらウエイターらしい。この店の制服をきていた。
「君は…」
僕がなにかをいうまでに、その少年は身を翻し、店の奥へと消えていった。
嫌悪混じった、あの眼差し。睨みつけた、あの瞳。
なぜだか、一瞬の事だったのに、彼の存在は、僕の心に深く染み付いた。

