ごちゃ倉庫
◎天の川にお願い☆
2011-7-10 13:39
天の川にお願い☆
今度、私のたった一人の娘が嫁ぐ。
私は天帝。
娘の名前は織り姫。
機を折るのが好きな可愛らしい女の子だ。
しかも、ただ可愛いだけではない。
織姫は優しくほんわかしており、綺麗な旗も織れる働き者だ。
大変父思いだし、私が何か不便なことがあれば進んでやってくれる、親ばかになるがいい子だと思う。
織姫が織る旗は大変見事なもので、わが娘ながら私は織姫の仕事ぶりを誇りに思っていた。
そして、今度織り姫が嫁ぐのは、彦星というこれまた好青年な人間だった。
元々、織姫に彦星を紹介したのは私だ。
彦星という男は、大層真面目で若く好青年と聞いていたからだ。
二人は、馬があったのか、出会ってすぐ意気投合し、やがて心を通わせていった。
織り姫は彦星が初恋らしく、私に彼がどれ程いい男か毎日のように熱く語った。
妻に先立たれ、ずっと織姫と二人きりだった私としては少し複雑だった。
娘を取られ、一人になった気がして。
しかし私は寂しい半面、二人を形では祝福していた。
私の淋しさで愛し合っている二人を縛る事は出来なかったから。
でも…抑えられない不満ももちろんある。
問題は、彦星の兄のことだ。
彦星の兄は、正直、堕落という言葉がとても似合う男だった。
なにをしているかときけば、なにもせず女の世話になっているという。
不真面目な人間なのだ。
私はちょっと硬い人間だとよく言われる。
不真面目な人間は生理的に受け付けないし、傍にもよりたくない。
だが、彦星と織姫が結婚するという事は、遠からず、私と彼は親戚ということになる。
苦手な人間が親戚に…。
考えただけで、クラリとするが、それだけじゃない。
彦星の兄は…初対面の私に…。
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天の川にお願いA
「へぇ。織姫ちゃんのお父さん?へぇ、織姫ちゃん可愛いから、つまみ食いでもさせて貰おうと思ったけど、お父さんも可愛いねー。以後よろしくね〜」
なんて、言いながら…き、キスを…。
今でも、ふと思い出すと蘇る唇の感触と、あいつの息遣い。
思い出す度に怒りで顔が赤くなる。
「お父さん?」
「いいか、織姫。彦星君の兄には絶対に近づくなよ」
「え・・・?」
「いいな。あいつは野獣だから。わかったな?」
「・・・う、うん・・・」
織姫が私の剣幕に押され、半ば強制的に頷く。
私はそれに満足し、ぎゅっと織姫を抱きしめた。
そうだ、あんなやつに、絶対織姫を毒牙にかけさせるものか…。
織姫は私が守る。
私はそうひっそり決意する。
でも、このとき、私は知らなかったのだ。
本当の、恋を。
全てを忘れてしまうような、恋を。
まだ、知らなかったのだ。
※
働かなくなったリア充にきれるパパ。
そんなパパを説得する婿の兄。
とか面白いかな…と思い…。
実際、七夕伝説は天帝は織姫の父ですが、彦星に兄はいなかったと思います。

