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夏目くんに連れられたのは、近くのホテルだった。
ホテルにつくなり、夏目くんは僕の顔中にキスを降らせる。
夏目くんのキスにうっとりしかけた僕だけど…
「だ、駄目…夏目くん…。待って、」
「待てません。…ごめんなさい。貴方が信じてくれるまで待つって言ったけど、やっぱり待てません。貴方があの男に襲われているのを見たら…もう頭がカッとなって、全身が震えて…」
「僕のひどい顔見て顔を顰めたんじゃないんですか?」
「まさか…。宮沢さんの可愛い顔をタコ殴りにした男には殺意がわきましたけど…」
そういうと、夏目くんはそっと僕の頬に手を添える。
「痛いですか?」
「大丈夫だよ…、これくらい…。それより先生は……?僕、途中で気を失ってしまって記憶が少し曖昧なんですが、お怪我とかは大丈夫でしたか…?」
「相良先生なら大丈夫ですよ。少し頬を斬りつけられたようですけど、宮沢さんほどではありません」
そうか…先生は無事なんだ。
僕は先生を守れたんだ。
「良かった」
「良くないですよ。
宮沢さんはこんなボロボロで……。
何されたんですか、あの変態に」
「なにもないよ」
「ちょっと首締められただけだから。
こんなんで先生を守れたなら安いもんだよ」
ニッコリと笑う僕に、夏目くんが悲しそうな顔をする。
なんで、そんな顔するの?
先生は無事だったのに…
「なんで、貴方はそんなこと言うんですか。」
「でも…」
「今後一切、そんなこと言わないでください。貴方は俺の大事な人なんですから…」
夏目くんは壊れ物のように僕を優しく抱きしめると
「好きです。貴方が…」と零す。
「俺の話をずっと笑わずに聞いてくれた貴方が好きでした。笑った顔も、全部、好きです」
ドクン…ドクン…と夏目くんの心臓の音が大きく聞こえる。
「月が綺麗ですね、って言ったのも、貴方に愛してるって告げたかったからです。ずるい男でごめんなさい。俺も、臆病だったんです。嫌われたら…って、怖くて…。前の恋愛みたいに失敗してしまったら、どうしようって…そう思って…」
なんだ。僕ら一緒だったんだ。・
お互いがお互いに恋に臆病で。
探り探りの恋をして、ずっと回り道していたんだ。
本気だから。
本気で好きだからこそ、思いを伝えるのが怖くて。
ずっと回り道して、探り探りの恋をしていたんだ。
「夏目くん…」
夏目くんの腕の中。
顔をあげて、夏目くんに微笑む。
「月が、綺麗ですね。これが、僕の君への想いです。僕も君と同じ思いです。ずっと、自分の想いを伝えることを臆病になっていました。でも、もう後悔したくないから…。改めて、伝えます。
君が好きです。君のことが大好きです」
この思い受け取ってくれますか?
そう告げた僕に
夏目くんは、はい、と破顔し抱きしめてくれた。
「抱かせて、ください…。今、無性に貴方が抱きたい…」
「夏目くん…」
「月が綺麗です。でも、貴方のほうがもっと綺麗だ」
夏目くんはそういうと、僕の体中にキスをして、静かに僕をベッドに押し倒した。