ユウうゆ�@

「ほな俺でええやん」

え?

「せやから…俺と付き合ったらええんちゃうかて言うてんねん、何度も言わすなドアホ」

え??

……今なんの話ししてたっけ?
球技大会が近いから彼氏彼女持ちは楽しいそうでうらやましいなあ、とか?
一氏ってこんな顔してたっけ、だってこんな真面目な顔は見たことないし…とかこう見えて頭はフル回転してるんだけど顔を見てたらぼーっとしてたように見えたのかもしれない、「オイ」と低い声で眉を顰められた。

「返事は」
「は、はい」
「それが返事でええんか?」

緊張するとかドキドキしてるとかってより、頭がふわふわしてる。だって、一氏に優しくされた試しも無ければ特に褒められたこともない。でも正直、ほんとに正直、機嫌だけはわかりやすい一氏と一緒にいたらちょっとだけこんな気はしてたよ。

「うん、よろしくねって方の…はい」
「ほんまに?後悔せえへん?」
「え?だ、大丈夫……」
「……そか」

少しの沈黙の後、「そろそろ部活行かなあかんかったわ」と一氏がラケットバッグを抱えて教室を出て行ったので「あ、頑張ってね」と背中を見送ると小春ちゃんといる時とは比べ物にならないほどちいさい声で返事したのが聞こえた。
ついさっきまで一氏が座っていた、机の下から飛び出たままの椅子を引いて戻す。そのままふらりと窓際に寄ると誰もいないテニス部のグラウンドが目に入って、勢いよく窓を閉めてしまった。
よく考えたら今日部活休みって言ってたような、あれ?
ずるずると壁にもたれかかったまま座り込んでしまう。
ああもうだめだ、今更顔があつい。
でも好きとは言ってくれないんだなあ、なんなの!