ユウうゆ�B
目の前には土下座してる彼氏、隣にはニコニコと口角の上がった友達、周りの面白がってスマホを構える生徒たちはもはや学年も関係ない。
「あの、ユウくん……?」
「俺の何がアカンかったん?もうダメ?」
顔を上げたユウくんの目は潤んでいる。どうしたのと近寄れば勢いよく抱き寄せられて、周りの目も相まって耳まで熱くなっていく感覚。何も説明してくれないけど力はどんどん強まって苦しい…。後ろにいた小春ちゃんに視線を移すと「胡桃ちゃん、その髪とっても似合っとるやないの」と困ったような顔で言われて、あれ…まさか……?
「髪?髪、いきなり切ったから?」
「やって女子がいきなり髪切るんなんて、し、しつれんとかやないんか…」
少女漫画の読みすぎや!とどこからか聞こえた声にユウくんもバッと身体を離す。
「……ん?」
「あの…これは昨日の夜自分で…」
「自分で?」
「ボブの方がハチマキつけるの可愛いから……って…切った」
「かわいい……はぁ…?」
完全に呆けてしまってるユウくん。「せやからアンタの勘違いやって言うたやろ!」と怒鳴る小春ちゃん。なんや問題解決か、ついに一氏が振られるんかと思ったわ、と口々に言いながら外に出ていく周りの生徒たち。やっとハッとしたユウくんが「だ、だれや今振られる言うたやつ!」と声を上げると、みんな逃げるように去って行った。友達までもが笑いながらとりあえず先に行ってるでと手を振るから、ごめん…と謝って見送る。
「一件落着?」
「あ、涼華」
一氏のでっっかい声聞こえてきてコレで殴ったろか思ったけど、と自分の背よりも高い応援旗を目の前に出されて、ひえ…と声が漏れた。
「胡桃の髪見てビックリしたけどなんやシーブリーズのCM撮影でもしてるかと思たわ」
「訳分からんこと言うな!」
「あんたに言ってへんねん一氏!大体なんやねんあの反応、呆れるわ…いい加減はよ別れてや」
「アホ!誰が別れるか!」
ユウくんにくっつかれたままはよ靴履け外行くでと急かされる。慌ててスリッパを下駄箱に入れて靴を履いている間も二人は別れる別れないの攻防を繰り返していて笑ってしまう。
「てか一氏あんた組違うんやからこっち来んといて、うちらのテントきたらリンチやでって白石も言うとった!」
「白石がんなこと言うわけあらへんやろ!ほな胡桃こっち寄越せやアホ」
「なんでやねん誰がやるか!」
もう喧嘩せんで!