ろれうゆ


「ごめんごめんごめん、マジでバカなん?」

バカだよ、今更気付いた?
ローレンの手に握られてるのはピンクの箱にピンクのライター。バレるの早いよ。今まで一度も吸ったことないよとローレンにはお伝えしてきたものの、今日からは「吸ったことあるよ!」と言えるようになったよ。自慢げに話してみたらローレンは頭を抱えている。吸ってみたいけど気管が耐えられる気がしないんだよね、という話はしたことはあるけど「吸えなくていいこんなものは」と散々言われてきた。そんなことは私だって健康的にも金銭的にも何もいいことないってことはよく分かってる。ただノリでなんか吸ってみらん?ってなっちゃったんだ、なんとなく。ほんとに。

「きつくなかった?噎せんかった?」
「いや、あんまり……だってそれ弱いやつでしょ?スースーして逆にいい感じだし桃の匂いするし別になんともなかったよ」

お前っぽいチョイスではあるけど……って煙草の箱見てため息ついてる。マジ非行じゃんとかぶつぶつ言ってるけど私実はローレンより2年は早く成人してるんだよね。

「別にろれが吸ってなくてもいつか好奇心で吸ってたし、勘違いしないでよね」
「取って付けたようなツンデレやめろ」

もう吸うな、まだ止めれるからって必死に止めてくるの面白い。笑てる場合かって怒られた。家に上がる前にも1本吸ったばかりだから口の中はまだスースーしてる。ムッとしてるローレンに軽くキスしてみて口を離す。

「同じ味する?」
「……お前が吸わなくても俺はずーーっと口ん中その味してるんだよね」

大きなため息と共にバンッとテーブルに手を叩き付けて悩ましげな呻き声を上げ始めた。情緒不安定すぎて笑っちゃう。でもいきなり台パンするの怖いからやめてって言ったらそれはほんとにごめんって頭を下げられた。素直なやつ。

「これ、あとは俺が吸うから」
「えー物足りないでしょこれじゃ」
「そりゃ無を食んでるようなもんだよ」

でも捨てんの勿体ないでしょってすぐに1本取り出して火を付けた。微かに桃の香りと、それより大部分を締めている煙草特有の煙の香り。私も今スプレーしてきたとはいえこの匂いしてるんだろうな、散々自分が嫌がってきたこの匂いが。ピンクの箱がローレンに似合わなくてちょっと可愛いなって呑気にニヤニヤしてたらこちらに向けて煙を吐き出された。今まで私の目の前では吸わないでいてくれたのに、どうやら結構ご立腹らしい。あちゃ〜。