「兄さん達、どぉしよ〜!!!」

兄弟いちの可愛さ(しかしあざとい)を持つ末っ子のトド松が大きな黒目に涙をたっぷり浮かべて抱きついてきた。

こういう所もまたあざとい訳で。



「チョロ松兄さん助けて〜!!」

「また女の子にでもフラれた?」


「違うよ!!何“また”って!フラれてないし!!ただ良い感じになると“私たちって友達よね?”ってけん制されるだけだし!!」

(それを一般的にはフラれるって言うんだよ……)

「で、どうしたの?」
「一松兄さんの事なんだけど……」




***

「「「えーっ!一松が犯罪者になりかけてるー!?」」」

そばに居た、上2人の兄さんとハモる。こういうとこが六つ子っぽいと言うか、以心伝心?


「あの時の面接を思い出すな〜」

おそ松兄さんの言う面接とは“扶養家族選抜面接”の事だ。

その時一松は、


「いいの?野放しにして?息子の中から犯罪者が出ても」


そう言って母さんの扶養家族に合格してたっけ……。


「って、一緒に暮らしてても犯罪者になるんじゃん!!」

「いや、まだなってないよ!!」


「フッ……俺は信じてるぜ。アイツの事」


サングラスをずり下げてウインクしてくるカラ松は……まぁ、放っておこう。


「で、犯罪者って?」


「あのね、この前のAV騒動があったじゃない?」


俺も後から聞いた話だが、カラ松の借りてきたAVの松本ルミちゃんは同級生の松山なまえちゃんだったわけで。


「僕、随分一松兄さんの事傷つけちゃったから彼女の事調べて、今住んでる住所教えたんだけど……」

「「「だけど……?」」」



「そしたら毎日!なまえちゃんの住んでるアパート張り付いてて……どうしよー!!兄さん根暗だからいつかきっとストーカーで逮捕されちゃうよぉお!!」


わんわん泣き出すトド松をあやしながらどうしたもんかと兄さん達を見ると、


「ヤベー!!ちょー面白ぇー!!行ってみようぜ」

「ちょっくら弟の背中でも押してきてやるか……おっと俺が行ったら彼女もカラ松ガールになってしまうかな?」


――そんなこったろうと思ったよ……



4番目の悲恋






***

トド松の後を追いながら、

「ねぇ、そんなに一松って松山さんの事好きだったの?」
「まぁ、俺達にも彼女のAV見せたくないくらいだからなぁ」
「それって高校生の時から好きだったのかなぁ。それともAV見て?」

「……AVじゃね?実際今のなまえちゃんと高校生の頃じゃ随分雰囲気違うから」

「じゃあ何で松山さん家張り付いてるんだ?」

「知らねーよ、俺犯罪者じゃないもん!」


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