もう悲しくならない世界(2/4)

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    翌日——。日曜日の朝、いつもより早く目が覚めた。ああ……頭いてぇし、なんか最悪な夢まで見ちまった……。せっかく名前と甘い雰囲気のまま抱き合って(ちなみに体の関係は無し)眠りについたってのに。夢にまで出てきやがった。水戸天使と、宮城悪魔——。

    よし……落ち着いて、論理的に考えよう。水槽の要領には限りがある。使命、贖罪、憎しみ、後悔、責任——。その中に大魚を一匹追加するなら、その俺がずっと泳がせていた後悔やら責任とやらの小魚たちは全員、追い出さなければならない。

    なぜならば、その大魚��名前�≠ェもたらす利益は損失よりも大きいだろうから。またそんな色んな��負�≠�泳がせているせいで大魚という名の名前を傷つけて失いかねないからだ。

    もしも……万が一、俺が彼女をまた底なしに好きになってしまったら……そのときは水槽の中の��小魚たち�≠�捨てるんじゃなくて。水槽を壊さなければならない——。

    ��人間�≠ヘ、
    水槽の中に入ることはできないから……。



    どういうつもりか俺は、昨日あのあとすぐに次の会う約束まで取り付ける始末。こうしてすでに翻弄されていると言っても過言ではない状況の中で、ふと思ったこと。名前と別れて婚約者が出来るまでの俺の人生に、名前みたいな人はいなかったのか——?と、いうことだ。

    いや……確かにいたはずだ。名前ほどじゃなくても、綺麗だったり優しかったり……俺の過去を知らなくても俺に想いをよせてくれていて、その俺の暗黒の過去を告白しても関係を続けようとしてくれた女性たちもいたはず。なのに、なんで——やっぱりその中でもコイツだけを特別に感じるのか。

    それに、この不快な不安の正体は一体なんなのか確認してみねえとな。俺はもう、ゆっくり進みてえんだ。じっくり、ゆっくり……なんの不安も躊躇いも恐怖も無く名前と過ごしていきたいだけなのに。なんでこうも……不安が募るんだ——。





    —


    ベッドから下りて部屋の中を見渡してみる。見慣れたのベッド、今は使ってなさげな古いタブレットPC、充電中の携帯、読みかけのスポーツ雑誌。鞄に忍ばせていたささやかな化粧品。私から借りパクしたままのアーティストのCD。

    それだけの部屋。だけど、優しく私を守ってくれていた部屋。

    なんとなく布団を畳んでまとめておいた。そうこうしているうちに開けっ放しになっていた部屋の外から「はよ」と低くささやく声が聞こえた。どこか蒼褪めた顔をしているのは彼も寝起きのためなのだろう。お風呂あがりなのか、髪は整髪料がなく柔らかく毛先が揺れている。スエットを身に着けていると、いつも見る雰囲気とまるで違って若々しいやら高校時代を思い出すやら、なんだか幼い感じに見える。

    だが彼が一階の脱衣所へと消えていき戻ってくると、シャツにスラックスを着けた、ぱりっとした大人の男の姿になる。

    彼に促されるままに一階に降りると彼はキッチンに立ち食事の支度を始めたので私は、そのかたわらでコーヒーを淹れた。ここでこうすることが、これからまた増えるのかな。そのことが頭の真ん中を巣食っているから寿の顔を見るのがなんだか恥ずかしい。笑顔でなごやかに会話をしたいのに。

    「あれ、お母さんとお父さんは?」
    「野球観戦だと。グッズ買うとかで張り切って出てった」
    「そっか。てか、泊まっちゃってごめんね」
    「いや、俺も話してるうちに寝ちまってたしな」
    「同時に寝ちゃった感じかな?」
    「たぶんな。 仲良いよな、相変わらず俺ら。」
    「うん……。」

    食事が済むと私は食器を洗った。ぴかぴかにしたあと、お風呂を借りて次に化粧を軽くする。髪を簡単に整えて荷物をまとめて部屋を出ると寿が玄関で立っていた。

    「忘れ物ねえか?」
    「うん、あっても取りに来るよ」
    「ハハ。それもそうだな。車もう回してっけどマジで実家でいいのか?」
    「うん!」

    「出掛けんなら近くまで送ってくのに」と言いながら寿が先に玄関のドアを開けて出ていく。私は靴を履いて家の中を振り返った。小さい頃から見慣れたお家。だけど、寿が生活していた息遣いや体温が確かに刻み込まれている。

    もう二度と来ることはないと思っていた寿の家。これからまたよろしくお願いします、とお辞儀して玄関を出た。





    —


    私の自宅前、寿は一度だけ軽く手を挙げて車を走らせて行ってしまった。今日はどうやらこのあと練習試合があるらしい。

    実家に入ると縁側を熱する陽光の匂いや台所で菜を刻む気配、それと私を呼ぶ声がする。優しくて、温かくて、それなのに何故か罰の悪いような、よそよそしさも感じてしまう。

    心を外に——置いてきたからかもしれない。時間が経てば、またこの家に住む私に戻っていくのだろう。

    父は昼食を作っていたため私もそれを手伝った。父に寿の話をすると「結局元のサヤに戻ったのか」なんて珍しく冗談交じりに言われた。けれどその表情の優しさから、いまでもある程度の信を彼に置いているのであろうことが伺えた。

    寿は私とまた会うようになった件について、自分の両親とも直接やりとりしていたらしいことを昨日聞いた。やはり自分だけが蚊帳の外であったのだと再確認する。

    そしてそうなった要因は自分が身の振り方を判断できなかったことにあるのだ。だから次からこそは自分の身は自分で守れるようにしようと思う。もう甘えたり、もたれかかるだけの存在であることはやめよう。自分でも選択肢をいくつか用意しておけるようにしよう。そうする必要があると気付いたのは偽りなく変わることのない、深い愛情ともいえる視線があったから。

    寿がずっと、離れていても会えなくなっても、どんなときでも私を見つめていたということを知ったからだ。





    —


    一週間ほど時間をかけてみたら、なぜあんなに心が揺さぶられたのか自分でも分からなくなった。俺より良い男たちが粉をかけても不思議じゃない相手が、自分が好きだからってだけの理由で俺みたいな奴でも構わないって?そんなの、ありえねえだろ……

    今日は絶対に揺さぶられたりしねえぞ。しっかりと見定めるんだ、アイツのことを。

    俺の知らない数年間の、名前の本当の気持ちを——


    「寿っ!」


     絶対に……


    「私より早く着いたの?まだ、約束の二十分も前なのに……」

    はあはあ、と息を切らして電車から降りて走って来た彼女に俺は一瞬たじろぐ。なんなんだ……コイツ……

    「……? 大丈夫?寿……」

    オイオイ……天使か——?天使……天使だ……じゃなきゃ……あんなにガサツで、俺の前で堂々とよだれを垂らして寝て、事あるごとに泣きわめいていた幼馴染が……こんなに……

    美しいはずが、ねえ……!

    呆然と彼女を見ていた俺が途端、拳をつくって自分の顔面をバコッと殴る。

    「ちょ——!寿っ?!いきなりどうしたの?!」
    「ああ……なんでもねえよ、一瞬バカな考えが」
    「へっ?」
    「あ、いや。目の前に虫がな、飛んでただけだ」
    「ほ……ほんとに大丈夫?」
    「だ、大丈夫だ。ほら、せっかくお互い早く着いたし映画館の中でも歩こうぜ」
    「あ、うん……。寿はポップコーン、何味が一番好き?」
    「あー、そうだなー」

    ……しっかりしろ、俺。今みたいに正気を失っちまったら目標を達成するどころか準備したデートコースも忘れちまう。今日の目標は三つ——。

    そのいち、名前の本心を探る。

    そのに、コイツに対しての今の俺の本心を探る。名前のことを、実際どう思っているのか、どうすべきなのか自分でもまだ上手く掴めていないからだ。今日のデートを通して、お互いの本心をはっきりさせるんだ。

    最後に……そのさん。今日のデートをスマートに終える。俺の気持ちがどうであれ、名前に好かれて損することはねえ。出来ればちゃんとデートを成功させて自然と次の約束も取り付けられたら言うことはない。

    ひとまず映画を観てから、停めてある車に乗り込んで近くをドライブして予約しておいたレストランで食事する。しかも今日はドライブするには理想的な天気。雰囲気もいい感じだし前売り券を買っておいた映画の口コミ(女子生徒の受け売り)評価も高い。出だしは好調だ……

    このまま行けば、問題ねえ——。


    席に座って映画前に流れる予告映像を見ながらスクリーンを眺めていたとき真横にカップルが座って来た。

    俺がチラッと見れば目が合った女の方が俺に向かって聞こえるように「かっこいい」と口をつく。俺はそれを聞いていない素振りでポーカーフェイスを決め込む。するとその女が照れながら言った。

    「あ……さっきから見てたんですけど、誰も座らないみたいなのでぇ〜」
    「……」
    「私たち予約した席が最前列で首が痛くってぇ」

    ……だからなんだっつーんだよ。おまえらの首が痛かろうがもげようが、知ったことかってんだ!偶然周りが空いていたから、ゆっくり名前と映画を堪能できるかと思ってたのに、おまえらみたいな非常識な客に邪魔される筋合いはねえ!

    「それはそっちの事情であって、ここはアンタたちの席じゃないですよね、戻ってください」
    「あ〜わかったよ、邪魔しなけりゃいいんだろ?!」

    俺は出来る限り、やんわりと諭したつもりだ。なのに、こンの野郎——。

    「言ってる……意味が分かりませんか?元の席に戻ってくださいって、言ってるんですが」
    「邪魔しないよう観るっつってんだろ?それとも何だ?お前にチケット代でも払えばいいのか?」
    「……」
    「ったく、礼儀知らずな野郎だな!親の顔が見てみたいぜ」

    ——ブッチ。はい、切れた。
    はいもう、限界だ——。

    「……テメェ、今なんつった?ぶっ殺すぞ」
    「ひぃ……!」

    「何あれ?ケンカ〜?」や「映画始まったんだから静かにしてよね」というコソコソ、ざわざわと声が聞こえてきて俺は我に返りハッとする。あ……やべ……。

    「—わかりました、もう好きにしろよ」
    「……ったく、わかりゃいいんだよ」
    「——ッ」

    ——クソ。今度会ったら、コロス。


    「名前……ごめんな」
    「ひ、寿のせいじゃないから……っ」
    「……」
    「大丈夫だよ……、あ、あははっ」
    「……」

    いや、完全に引いちまってるじゃねーか!……最悪だ。

    そんな感じでしばらく虫の居所が悪い状況下で映画を見ていた。はあ……雰囲気もぶち壊しで映画まで全体的につまんねえときた。生徒らは名作だって騒ぎ散らかしてやがったのにアイツらおもしろがって俺に嘘教えたな、コラ。動員数も、もはや全部サクラかよ?口コミ操作とかって芸術文化への冒涜じゃねえのかよ!



    —


    「久しぶりに映画館なんて入ったわ」
    「う、うん……私も。」

    名前も映画が終わってからというもの、まるで拷問受けたみたいに険しい表情だしよ……マジで終わってる。

    でも大丈夫だ、落ち着け……ドライブで挽回すりゃいい。天気もいいし、窓から入る涼しい風にでも当たりながら……。

    そう思って取りあえず映画館を出ることにした、が——。


    ——ザザーッ!!

    ………。

    「雨が降るなんて言って無かったのにね、きっと通り雨かな……」
    「あ、ああ……そうだろう、な……」

    クソッ……!!

    とりあえず傘無しの俺たちは俺の着ていたジャケットを彼女に羽織らせて急いで車まで向かった。車内に入ったとたんザザー!!と強めの雨音が車の屋根に当たり名前の声すらまともに聞き取れない始末。

    「かなり、降って来たね……」
    「……あ、ああ。だな。」

    誰かが今日という日が台無しになる呪いでもかけたんじゃねえだろうな……?はっ、まさか——宮城悪魔か……!?

    いや……大丈夫だ……ポジティブに考えよう。雨の日のドライブも、それなりに風情があるだろ、たぶん……。


    『交通渋滞をお伝えします——突然の豪雨により事故が相次ぎ各地で渋滞区間が発生しています』

    「……」
    「……」

    『事故発生区間は——方面へ抜ける——大橋、——大橋……』

    え——。待て待て待て、予約したレストランがある方向じゃねえか!いや……まだ時間はあるから大回りして行けばいい。大丈夫だ、大丈夫——

    「そろそろ渋滞抜けれっかな……」
    「ど、どうかな……すっごい混んでるよ?先。」
    「え……。」

    大丈夫……じゃ、なかった——。



    —


    「もしもし?六時に予約した三井ですが。はい、雨のせいで道路が渋滞してしまって……ええ、はい、予約を遅らせることってできますか?」
    『当店は二十分以上遅れますと自動キャンセルになってしまうのですが六時半までにはご到着いただけそうでしょうか?』

    俺はチラッと車のナビを見やる。ささっと指で渋滞を抜けるルートを検索する。……目的地までの予想到着時間は二十三分か、よし、六時半な。間に合いそうだな。

    「はい、可能だと思います」



    —


    『——メートル先、事故のため……』

     ………。

    「……」
    「……」

    ——不可能だった。

    沈黙の車内。尚も通知が来る渋滞情報。#名前はずっと助手席側の窓の外を眺めている。

    「悪い——、飯は別の場所でもいいか?」

    彼女がこっちを見て情けないような笑みを零す。

    「大丈夫、仕方ないよね……」
    「……ハア、」

    それからUターンして戻り、レストランを探してはみたが良さそうな所はどこも順番待ちで、ずぐに入れるのはデート相手を連れていったらフラれてもおかしくないような店ばかり……。とりあえず雨が止んだので車を停めてふたりで街中を歩いた。

    「……近くのレストランでも予約すんな」

    俺が携帯を見ながら言えば、名前はひとつコクンと首を縦に振った。

    「……」
    「……」

    あーあ、頭いてぇ……。

    「そこのお二人さん!」
    「……?」

    反射的に二人で立ち止まり見れば焼き鳥屋の屋台のおじさんが声を掛けてきたようだった。

    「腹減ってるなら焼き鳥でも食ってかねえか?」
    「……」
    「そこの美人さんには特別にソースを二種類塗ってやんよっ!」

    この状況で五つ星ホテルに連れてっても挽回できそうにねえのに外気にさらされたホコリまみれの鶏肉を食えと……?

    「いえ、結構で——」

    手を翳して言い掛けた俺の真横、ぱくっと交換音でも放ちそうな面持ちで名前が焼き鳥を受け取って——食ってた。

    「——す……?」
    「……、」
    「うお! 名前?!」
    「……! 寿!これすっごくおいしいよっ!」
    「へ……?」
    「寿も食べてみて!はい、あ〜ん」

    俺の承諾も得ないままに#名前が俺の口の中に食べかけの焼き鳥をズボッと咥えさせる。

    「ン——!!?」
    「え?な、なに……寿、」
    「いや……、」

    ま、まてまて、マジか……こ、これって……間接キスじゃねえか——!!!

    「どう? 美味しいね!なんか昔一緒に行ったお祭り思い出しちゃった」
    「あ……お、おう。そ、そうだな……」

    名前は俺の動揺なんか気にせず楽しそうに笑う。俺はそれに呆気に取られて口の中に入った焼き鳥を取りあえずゴクンと飲み込んだ。

    「いらっしゃい!!おいしいタコ焼きだよ〜」
    「こっちはパッタイもあるよ!!」
    「そこのカップル!デザートにはイチゴ飴はどうだい?」

     い、いちご飴だと——?!チラッと名前を見下ろせば同じことを思い出したようで気まずそうに俺から視線を逸らした。

    「オイ」
    「は、はい!」
    「いま、同じこと思い出したよなあ?」

    目線を合わせるように少しかかんで彼女の顔を覗き込んでみれば名前はプイッと頬を膨らませて俺から顔ごと背けてみせる。

    「お、思い出してないもん」
    「元祖、浮気女。」
    「ちょ!……侵害!その言い方っ!もうっ」

    ……。

    ああ、名前……おまえ、マジで

    クソほど可愛いんだが——?!





    —


    「あ〜、お腹いっぱい!もう食べらんないね」

    結局、俺たちはいまおでん屋の屋台の椅子に腰をかけている状況。

    「でも本当においしかったー」
    「……」
    「……? 寿、大丈夫?さっきから顔色があんまり良くないよね?」
    「いや……ハア、」
    「ん?」
    「ここよりずっと……」
    「……?」
    「雰囲気が良くて、おいしい店に連れてってやりたかったんだよ」
    「え……」

    俺はもう一度ハアと溜め息をついて下を向く。

    「映画もドライブも楽しい時間にしてやりたかったのに……」
    「……」
    「ガッカリさせてばっかで申し訳ねえっつーか」
    「……私、がっかりなんてしてないよ?」
    「……え?」

    俺が顔をあげて彼女を見れば彼女は柔らかく笑っていた。その表情にドクンと胸が高鳴る。

    「映画もドライブも屋台も、全部楽しかったよ」
    「本当……かよ、だって映画のあとずっと険しいツラしてたよな?」
    「ああ、それは……主演女優の演技があまりに印象的でさ」
    「……は?」
    「心の中で思い返してたの、それが深刻な感じに見えちゃったのかな」
    「……」

    え、ええ……ンなの、ありかよ。

    「私は今、寿と一緒にいるだけで楽しくて幸せなのに……」
    「……」
    「寿は、そうじゃないの?」
    「——!」

    ——こ、こンの野郎。コイツ、天然タラシも大概に……

    「……っていうセリフは感情表現が重要な見せ場だったのにさぁー」
    「は——?」
    「すっごく下手な演技だったよね?」
    「——!?」

    び、びっくりした……なんだ、映画の台詞を真似したのか。

    「あんな雑な演技、久しぶりに見たー」

    ああ、そう言やそんなセリフもあったような、なかったような……

    「それになんて言うか、何を経験するかってよりも誰と一緒に経験するのかってことのほうが、もっと大きな意味を持つ場合があると思うんだよね」
    「……」
    「私は今日、他の誰でもなく寿と一緒に過ごせて楽しかったから」
    「……」
    「だからつまり、私が言いたいのは……うーん」
    「——俺も、」

    食い気味に出た言葉。自分の声なのに、やけに低くて通った声がその場に響いた気がした。彼女は「え?」と俺に聞き返す。俺は真っ直ぐに彼女を見据える。そして、その綺麗な瞳が俺を捉える。

    「俺も、楽しかったよ。」
    「……よかった。また今度、一緒に映画観に来ようね」


    ——今日の目標、達成結果。
    そのいち、相手の本心は?

    どうやら……本気で俺のことを好きみたいだ。他の誰でもなく、よりによって高校時代に付き合ってるときも別れてからも自分に酷い仕打ちをしていたような、こんな俺を。

    じゃあ、その二。相手に対する俺の本心は?

    俺の気持ちは——。


    「ああ……、また来ような。」

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