12

今、アレン・ウォーカーはフォーと戦っている。しかし先程ハナコと戦っていた際に四肢に蔓延っていた札は剥がされていた。予想以上に動きが制御され、アレンがボロボロになったためだ。


「ったく、根性のねェガキだな!」
「なっ!フォーはあれをされた事が無いからそう言えるんです!」
「あたしはあれくらいヘーキだよ!つーかちょっとしか縛られてなかったくせにへこたれ過ぎなんだよ、お前は!ハナコォ!お前からもなんか言ってやれ!」
「そうですね。たしかにバテるのが早すぎたともおもいますが、疲れやストレスがたまってる状態であることを考慮したならばよく出来たほうかと」
「ハナコッ…!ありがとうございます!」
「お前までこいつ甘やかす気かよ!」
「ヒッ!」


フォーはムキーッ!と鎌状の手を振り回す。その鎌がアレンの前髪を掠める。アレンの短い悲鳴が上がった。


「おちついてフォー。べつに甘やかしてるわけじゃないよ」


ハナコがフォーの頭を撫でると、フォーはかぁぁと顔を赤くさせて肩をぷるぷると震わせた。


「あ、あ、あたしをガキ扱いすんじゃねーっ!!」
「あれ。フォーなんでおこってるの?」
「お前は無自覚でやってっからタチがわりィんだよ!!」
「なにをいう。わたしはつねにちゃんと自覚をもってこうどうしている」


むっと眉を顰めてフォーを見るハナコ。うっと言葉を詰まらせるフォー。それを呆然と眺めるアレン。


「あの…ふたりとも…?」
「すみませんウォーカー。フォーはあつくなるとわれを失うのです」
「な…なるほど」
「うるせェバカハナコ!変なこと吹き込んでないでさっさとやるぞ!」


フォーがそう言って鎌を構えると、ハナコもしなりとイノセンスを構えた。アレンも顔を引き締めて構える。


「ハナコ、本気でやれよ」
「うん、がんばる」


そして訓練が再開された。


「せなかは敵にさらしてはいけない」
「うわぁっ!?」
「首がガラ空きだぞ!」
「ひっ!」
「けついですよ、ウォーカー。けじめをつけなさい」
「そんなこと、言われても…!」
「つべこべ言ってんじゃねェ!オラ!」
「うわっ!?」


そんな感じで訓練が進んでいたが、途中ぎゅーうという間抜けな音が部屋に響き訓練が一時中断。アレンとフォーが音源に向かって勢いよく顔を向けた。


「…」
「…ハナコ、お前…」
「お腹が空いてるんですか?」
「食堂いってきます」


そしてハナコはイノセンスをしまい、さっさと食堂へと向かってしまったのだった。



食堂へ着き、ハナコはご飯をたらふく食べると大きな欠伸をひとつ。


「ふぁ…ぁ、ねむ…」
「女の子がそんなに大きく口を開けて欠伸をするのはどうかと思うぞ」
「…バク」


ハナコが顔を上げると、そこにはふぅと溜息を吐いているバクがいた。ハナコは机にぺとりとうつ伏せる。


「ねむいよ」
「少し仮眠をとるか?部屋に案内するぞ」
「…うん」


席を立ち上がると、ハナコはふらふらとバクに着いて歩く。それを見て口角を緩め、また一つ溜息を零すバク。


「まったく。まるでわがままな妹が出来たようだよ」
「わたしはわがままじゃない」
「どうだかな」


そんな会話をしながら長く冷たい廊下を歩いていた時だった。不意にバクが後ろを振り返る。


「どうした、バク」
「っ!何者かが支部内に侵入したようだ!」


バクは半ば叫ぶようにして廊下を反対側に向かって走り出した。少しずつ遠ざかるバクを見てハナコがたんっと力強く廊下を蹴り、一歩でバクに追いついた。そしてバクの肩をがしりと掴む。


「なっ、何をする!非常事態だぞ今は!!」
「わかってる。しっかりわたしにつかまれ」


ハナコは瞬時にイノセンスを解放し、大きくなった片方の風車に飛び乗った。


「もくてき地はどこ」
「訓練部屋から一番近いテラスだ!!」
「りょうかい」


そしてふたりはびゅんと風を切って移動を開始した。


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