13
ボクはハナコと共にテラスに向かっていた。そしてあっという間にそこにたどり着くと、ハナコは途中でボクを彼女のイノセンス、風車から下ろした。
「おまえはあまり近よらない方がいい。術師に近距離戦はむかない」
「わかった」
そしてハナコはもう片方のイノセンスを発動させてアクマに投げる。彼女のイノセンスは見事にアクマに当たり、アクマは吹っ飛んだ。ボクは術の準備に取り掛かる。
「どけアクマ」
「ハ…ハナコ、」
ハナコは息も絶え絶えなフォーを一瞥すると、ぎらりと冷たい目でアクマと対峙した。ガチャリと重い音をたててイノセンスを構えるハナコ。
「お前誰だ?」
首を傾げるアクマはピンピンしていて。ハナコは表情を変えないままに首を傾げた。
「…レベル3か」
「そうだよ。で、お前は誰だよ?」
ぐんっと距離を詰めてきたアクマの顔面に鋭い蹴りをお見舞いするハナコ。アクマは後ろによろめき、その隙にアレンを後ろに控えている李佳たちの方へと蹴飛ばした。
「答えるぎりはない。だまって消えてろ、てつクズが」
「ハナコッ!レベル3相手にひとりだなんて危険です!!」
ウォーカーがそう叫ぶが、思ったよりもハナコの蹴りが強かったらしくゲホゲホとむせている。
「"封神"召喚」
準備が整い、ボクは力の限り叫ぶ。
「"我血ノモトニ許可スル"!!」
「バクおそい」
ハナコがボソリとそう言ったが、この際聞こえないフリ。そんな事よりもフォーが、ウォーカーが危険だ。立て続けの攻撃でアクマの動きを抑えているが、それも何秒もつか。
「今のうちだ!一旦引くぞ!」
ボクがそう言うと李佳がアレンを支えて、シィフがフォーを担いでそれぞれがこっちに向かってきた。ハナコはアクマを警戒しながらこちらへ走り寄ってくる。が、その時だった。
ドガァアンッ!
アクマが攻撃の嵐から出てきたのだ。瞬間、ハナコがさっと身を翻してアクマに向かってイノセンスを構える。
「バク。いけ」
「なっ、ハナコ!?」
「足をとめるな!はしれ!!」
「っ!すまない!!」
「まっ、待って下さいバクさん!ハナコを置いていくなんて…!」
ハナコが珍しく感情を表に出して叫んだ。暴れるウォーカーを無理矢理李佳に抑えさせて、ボクらは走りだした。
「離して下さい!!彼女を…ハナコを助けなきゃ…!」
「ダメだ!」
ボクは走りながらウォーカーを見る。
「ハナコもエクソシストだ。そう簡単にはやられない」
「でも彼女はエクソシストになったばかりなんですよ!?」
「っ、」
「それでも…、今のお前よりかは強いぜ…ハナコはさ…」
ボクの代わりにフォーが答えた。アレンはしかしと食い下がる。
「ウォーカー…。信じるしかないんだ。キミを奴らに渡すわけにはいかない」
「だからってハナコを犠牲にするのは間違ってます!!」
「今はそれしかないんだ!分かってくれ!!」
珍しくボクが怒鳴ると、ウォーカーは一瞬怯んだ。
「まずはキミの身の安全を確保することを最優先にしなければならない!なんとしてでも!」
「…っ」
悔しそうに唇を噛み締めるウォーカー。ボクは彼から目を逸らし、一度だけ後ろを振り返った。
どうか無事でいてくれ、ハナコ…。