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「どこかに外に通じる家があるハズですよ!僕とハナコはそれで来たんですからっ」
「って、もう何十軒壊してんさ!!」
「これぐらいでヘコたれてるんじゃないですよ、ラビ」
「ハナコの体力が無尽蔵なだけさねっ!」
ラビが地面に膝をつく。カボチャが口を開いた。
「無理レロ!この舟は停止したレロ。もう他空間へは通じてないレロって!!マジで出口なんて無…―」
ゴッ!アレンたち男組が無言でカボチャを殴る、蹴る。その時リナリーが声を張り上げた。
「危ないっ」
「!!!」
不意に足元の地面が崩れ始めたのだ。ハナコは咄嗟にリナリーを抱え上げ、足場の安定したところへ運んだ。
「っ、」
「なにをそんなにおそれているのですか、リナリー・リー。わたしは何もしていませんよ。いまだけはトラウマなどにとらわれないでください。深呼吸などしてみてはいかがですか?」
ハナコはなるべくゆっくりとそう話し掛ける。すると先ほどまで強張っていたリナリーの体がほんの少しだが緩んだ。
「無いレロ…ホントに」
カボチャが少し声を低くしてそう言う。
「この舟からは出られない。お前らはここで死ぬんだレロ」
誰もが息を殺してカボチャを見遣る。
その時、
「あるよ」
不意にアレンの後ろに人影が現れた。アレンが振り向くと、そこにはもじゃもじゃ頭のビン底眼鏡を掛けた男がいて。
「出口だけならね。少年」
男は口にタバコを咥えたままアレンを見据える。
「「「!!!!」」」
その男を見てアレン、ラビ、クロウリーが声もなく口を大きく開けて指差した。
「「「ビン底(メガネ)!!!」」」
「え、そんな名前?」
「ななっ?なんで?なんでここにいんの!?」
「まちなさい、そこの3人」
慌てる3人に向いハナコが口を開いた。それに神田が続ける。
「そいつ殺気出しまくってるぜ」
神田の言葉に一瞬身構えるアレンたち。男はニヤリと口角を上げながらアレンの頭に手を置いた。
「少年。どうして生きてた…?」
「のっ!!!」
言うなりアレンに頭突きをかました男。相当痛かったのか、アレンは額を押さえたまま蹲っている。
「〜〜〜っつ」
「千年公やチビ共に散々言われたじゃねェかよ〜」
「なっ、にを言っ―」
顔を上げたアレンの目に映ったのは、肌の色が浅黒く変わっていくところで。そして男の姿は、いつの日か自分のイノセンスを壊したノアだった。