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おとうさまがいきているなら、わたしはまだここにいれる
ハナコはリナリーを背中に庇うようにして立ち、ようやくして駆けつけたコムイごと衛羽で覆いなおす。満身創痍である上に耳鳴りも相まって、音がだんだんと遠ざかっていく。それでも彼女は立ち、じっとレベル4を見据えていた。
「リナ…リ…ッ」
後ろの方で切羽詰ったような声が聞こえたが、それでも彼女は振り向かない。今は気をそらしている余裕などないから。不意にルベリエのすぐ傍に誰かが吹き飛んでくるのが見えた。ハナコは瞬時にそれに反応し、その誰かを受け止めに向かう。
「あ…っぐぅ、」
「く…っ、…!?えっ!ハナコ!?」
「うぉ、か…まえ、を」
飛んできたのはアレン・ウォーカーで、彼女は彼を受け止めた反動で苦しそうに呻いた。アレンは何故ここに彼女がいるのかさっぱり分からなかったが、戦況が戦況なだけに聞いている番ではない。咄嗟にすぐ横にいたルベリエに離れろとだけ言い、再びイノセンスを構える。ハナコもそれにならってイノセンスを解放した。
「さ、さんの業…豹氷懺鬼」
第二解放をし、風魔手裏剣を大剣に変えた。スキン・ボリックに突き立てたものであるが、あの時よりも若干デザインが変わっている。ハナコはうっすらとそれに気付きながらも、黙ってアクマの攻撃に備えた。
繰り出されたアクマの一撃に、アレンとふたりで並んで受ける。ハナコはアレンの背中に自分の腕を回し、アレンを支えながら片手で大剣を握っている。
「ハナコ…っ、無茶をしないでください!」
「うぉーか、こそ」
そんなふたりを後ろからやってきた神田とラビが救援にきた。アレンをラビが、ハナコを神田が支える。
「ふんばりやがれ…っ」
「今はお前らしかいねーんさ…っ」
「ぐ…っ」
「くっ…そ!」
4人は互を鼓舞し合うように声を上げた。しかしアクマの一撃は思っていたよりも強く、4人は吹き飛ばされた。
目の前が真っ赤に染まる
口の中はずっと鉄の味がして、舌が歯にあたると痛いとさえ感じる
耳鳴りは止まない
「……おと、さま…」
ごぽり。彼女の口からしとどに血が溢れ、彼女は意識を手放した。