昼食後、小夜にも刀装を持たせてから道場で陸奥守と軽い手合わせをしてもらう。 陸奥守の初陣の二の舞にならないよう、人の体に慣すためだ。 その間に、こんのすけに政府への備品支給依頼を取りまとめる。 小夜の布団を頼む際には、こんのすけからアドバイスをもらい事前に一部隊分まかなえるよう余分に支給してもらうことにした。 その他、まだ畑に手を付けられていないので当分の食料も注文する。 人が増えれば内番と呼ばれる当番制にできるが動き出した少人数の本丸ではそれより先に手を付けねばならない事が多い。 こんのすけを待つ間、端末で近くの戦場での任務内容に目を通す。 比較的近い時代の函館であれば、まだ経験値の少ない二人でもいけるだろうと判断しチェックをつけた。 二人と一匹が戻り次第、今後の話をし早速任務にあたってもらうつもりだ。 一時間程すると、手合わせを終えた二人が戻って来た。 こんのすけもその少し前に戻って来ており。転送装置に届いた布団など支給品を陸奥守に頼んで、屋敷の中に運び入れてもらっている間に小夜と茶を淹れる。 「一息ついたら、初めての任務にでてもらう」 「わかった…」 「がっはっはっは!まかせちょけぇ!」 二人の間に地図を広げ、先に現地に飛ばしていた式が感知した気配を指し示す。 印は3つ。この中のどこかにある敵の拠点を潰し、敵が使っているゲートを破壊することでこの時代の進軍は止められる。 「敵の陣は、今回の偵察だけでははっきりしなかった。 あやしいのは、この2点。気配的にはこの上の地点が一番怪しい」 「じゃ、すぐに本陣を叩くより相手の力を見る為にも、この一番可能性の低い所から叩くのはどうじゃ?」 陸奥守が残りの一点を指す。小夜がそれに頷いた。 「それがいいと思う…近くに行けばより敵の気配を感じられる。 そしたらきっとその2ヶ所、どちらが本陣か判断出来るよ」 二人の視線を受け止め、「よし」と景気づけにぱんと膝を叩く。 「決まりだ! 準備ができ次第、出立しよう」 初めての出撃は結果として、成功した。完全勝利とはまだいかないが、昨日より陸奥守の動きも切れも良かったし、小夜の動きも悪くはなかった。 そして今回、3振の刀が二人の手によって回収された。 藤四郎一派の乱藤四郎、義経の守り刀である今剣、そして来派の愛染国俊だ。 一気に増えた面々にそれぞれ挨拶をし、今回先見の明があったこんのすけにあとで油揚げをあげよう。布団が足りない自体はなんとか回避出来た。 夕飯は、恒例になりかけている塩むすびと注文したアジの干物、それからおひたしとみそ汁となった。実は今まだ秘密だがデザートにおはぎを用意している。 一気ににぎやかになった大広間の食卓を見回して小さく息を吐く。今更ながらようやく、今朝から張っていた肩の力が抜けた気がした。 夜半、風呂を終えてから任務完遂の報酬を得るため政府への報告書をまとめる。 つい先程、陸奥守達がこの部屋に顔を出し、「おやすみ」と悪戯っぽく笑っていった。 それに驚きつつ「おやすみ」と返していると、足下でしたり顔のこんのすけがいた。 こやつの差し金らしい。よしきた明日も奮発してやろう。 一人になった執務室で筆を置きホッと小さく安堵の息を吐く。 まだ二日目だ、先はまだ長い。