「マリー」 絡んだ指と指、縺れ合う足と脚。 触れあった肌と皮膚との境界は、時間と共に溶けて消えた。 「マリー」 共に吐き出す呼吸のリズムと心音のそれは、確かに違うものだけれど。 それでもゆっくりと絡み合いハーモニーを紡ぐ。 彼女と二人いれば、詩的な叙情など普段なら鼻であしらうものを。 こんな時ばかりは愚かな男に私も成り下がる。 「愛している」 絡んだ指と指、縺れ合う足と脚。 触れあった肌と皮膚との境界は、時間と共に溶けて消えた。 「セブルス」 指の太さと長さ、境界さえ曖昧になった肌の色。 絡み合うような髪先は確かに違うのに。 わけあった体温に溶けた境界のせいでそれの接点は酷く曖昧になる。 「セブルス」 声、そして骨が伝える音の振動は、聴力だけでなく触れあった境界から彼へと伝わるだろう。 それが少しでも、見えない心を彼に伝えられるのであれば、私は拙くもなんどもこの言葉を紡ごう。 「愛してる」 触れ合う指、肌、絡み合う脚、髪。 そして合わせられた唇の隙間から、幸せが零れ落ちる。 愛してる、重なった言葉の境界はなく一つの音になって静寂に消え。 合わせた額の熱が、ゆっくりと溶けて同じになるのを二人は一つの夜をかけて待つ。 それは幾夜とも繰り返される、二人の儀式。 END