マリンフォードに集められた三人の子供達は生まれ育ちも、そして歳も全然バラバラだったが。 ただ、劣悪な環境かで育った事と、もう一つの共通点があった──幼いうちに自然(ロギア)系の悪魔の実を口にしていた事である。 それぞれの故郷で保護された子供達は、その特異な能力から次世代の海軍戦力として期待され、生活の援助──清潔な寝床と三度の食事──を条件に入隊候補となり、現在その身柄は“海軍預り”となっている。 “海軍預り”という異例の対応になったのは、三人が海軍学校への入学が可能な年齢に達していなかった為と、育った環境故に基礎教育が全くなっていなかったからだった。 「13歳のボルサリーノは翌年入学が可能な歳になるのだから良いとして。 問題はサカズキとまだ4歳のクザンだ」 「一度どこぞに、養子に出すべきじゃないのか?」 「海兵を親に持った孤児の孤児院があったろう。そこはどうだ?」 「能力者を? あの中にいれるのは酷だろう……」 保護し“海軍預り”になったものの、三人のこれからは全く何も事は決まっておらず。 三人は海軍本部がある此処、マリージョアに来てからの殆どを、会議室で繰り返される大人達の進まない話し合いをなんの感慨もなく眺めていた。 「この歳だが、能力はあるのだ。 さっさと海軍学校に入れるのが一番じゃないのか」 「文字の読み書きも危ういのにか? 無茶を言うな。海軍学校はあくまで海兵としての教育をする場所だ。 そんな初歩的なことを教えるまで、手が回るわけなかろう」 「それに三人が三人、これではなぁ……」 「おい、やめたまえ」 見下したような視線にちらりと、隣の子供と目を合わせる。 一番年下の子供においては、無表情のままそれを見つめ返すだけだ。 育ちのせいか、既に達観した物言いと冷めた表情に嫌そうな顔をする大人はここには多かった。 ここ3日も続く、下らない問答にいい加減嫌気がさしてきている。 勝手に生きていくから放っておいてくれ、と言いかけた言葉をコングという男が遮った。 「この子等を──あのガープとセンゴクを育てた、“ヤツ”に任せてみてはどうだろう」 会議に参加していた将校達がざわめいた。 「アマリア准将ーーいや中将にですか?」 「あの“金獅子”とやり合った、“白刃の”か。なるほど、良い案かもしれん」 「ちょうど今、その海戦の傷を癒すために休暇中になっている。 その間だけで奴に彼らを任せ、我々は三人の今後をじっくり決めれば良い」 今焦って決めようとするから会議が進まんのだ、と苦々しくコングから吐き出された言葉に将校達は口をつぐむ。 「如何ですかな、元帥?」 円卓の上座に座りながら、今まで一度も口を開かなかった元帥へとコングが鋭い視線をやると、「構わん」とだけ返る。 それに小さく息を吐きコングはこの会議の終了を早々に告げた。 次々と将校達が席を立ち退室していく中、コングは三人の元へ歩み寄り目の前に膝をついた。 「大人でもつまらん会議に付き合わせちまって悪かったな」 苦笑まじりの言葉に、「別に」と答えるだけに止める。 「とりあえず、お前らはとある中将に預ける。 俺等はその間にお前らの身の振りようを決めようと思うが、いいな?」 「構いませんよォ、あっしらは引き取られた身ですから〜」 軽い口振りの割りに刺がある言葉でボルサリーノが笑う。 コングは困ったように笑っただけで、立ち上がると三人にも立つように促した。 「さぁ、行こうか」 サカヅキを含めた三人は、壁際に寄せられた椅子から飛び降りるように立ち上がった。