久し振りの再会は黄昏時──合戦場。 珍しく血と死の香りをその身に纏い、忍刀を手に立つその姿は正に影の者であった。 出会った時から彼女はそうだった筈なのに、あの学園の空気のせいか彼女からはそんな臭いは全て消し去られていたのだ。 黒い忍装束は、この夕日の中では元々の色なのか、それとも血を吸いすぎたのかはわからない。 (嗚呼……君も戦忍なんだね) 口にしたら侮辱ともとれるだろう呟きを心中に落とす。 鈍い光を湛えたまま暗く濁った瞳が、ひたりとこちらを見据えていた。 口布の下、唇を歪に歪める。手にしていたくないを手から滑り落としながら、両腕を広げた。 ガキン、と何かにぶつかったのか硬質な音をたてて跳ねたクナイの音を聞いた。 「おいで」 右目を細めるようにして笑いながらそう囁く。 しかし、石のように無機質な瞳がただこちらを見つめ返しているのに、笑みは苦いものが混じった。 「やだなぁ。 こう言う時は、腕の中に飛び込むのか普通でしょう?」 いつものようにを心掛けて茶化した声色に、彼女が忍刀を握り直した。 (おっと……ここまでかな) 僅かに揺らめく刃先に、抜いていた力が僅かに体に入る。 しかし、ふらりと揺れる忍刀は風を斬るような音をたてて血が払われると、静かに鞘へと収められた。 「武器を手にした相手を前に武器を捨てるとは……なめてるのか、お前は」 キン、と硬質な音をたてて刃が鞘に消えたと同時に彼女の瞳にあった闇は鳴りを潜め、ただ静かな瞳がこちらに向けられた。 にっこりと、目を細めて笑ってみせる。 「だって、クジラ先生があまりに怖い顔をしてるから」 「──余計なお世話だ……合戦場ならこんなものだろう」 数刻前の己を思い返せ、と吐き捨てられた相変わらずの言葉に安堵を心中に隠しつつ笑う。 「そうだね」 ふん、と小さく鼻を鳴らして反らされた視線は、真っ赤に汚れた掌に落とされた。 「──雑渡」 ぽつりと呼ばれた名前に、一瞬返しに困って沈黙を返す。 掌の汚れを隠すように拳を握り込んだ。 「お前のおかげで気が抜けた……これでやっと、学園に帰れる」 先ほどとは違う、穏やかな横顔を見つめながら、ゆっくりと距離をつめるように足を進める。 「でも、まだ抜けきれてないね……。よい子のみんなに怯えられちゃうよ」 その自覚はあるのだろう、苦く歪んだ顔に笑みを溢す。 「だからさ……」 呆気なく当初の予定通り腕の中に収めた細い体は冷たい。 「少し、こうしていたらマシになるんじゃないかな?」 人の温もりを伝えるように抱き締めながら囁いた言葉に、口が達者だなと小さく返された言葉は僅かに震えているような気がした。 「うん、そうだね」 夕日が沈む間際の残光に目を細めながら、夜の帳が落とされる刹那を彼女を腕に抱いたまま見つめていた。 夜は、まだ明ける事はない。 ──── くさってても特別上忍