作業曲:Möwe / Skyline
#ぼいそに #hrakプラス 🎤
26のKiss 背中 肩……「確認」
「埋まってると涼しい」
一緒に来ていた後輩達に配ってしまい、シートも無いパラソルの下で直に寝そべるユメは胴体のほとんどを砂の中に埋めている。
「なんで海じゃなくて砂に浸かってんだろな」
自分自身もまた、体に盛られた砂を見下ろす。
企画されたビーチフラッグで最下位の罰ゲームを受けているユメはマッチョ型に砂を盛られ、俺はと言えば胸に小高い丘を二つ盛られていた。
「いいなぁひざしおっぱい大きい」
「お前もムッキムキじゃねぇか羨ましいぜ」
「ひざしもムキムキだよ?細いけど」
「ユメだって無いことねぇだろ」
「うわぁ……無いことない……無いこと、ない」
「そーじゃねぇぇぇって!」
「じゃあ、……ある?」
「……無い……コトナイ」
「ほら!あーあ。ひざしに言われると傷が深いなぁ」
「はー?どういう意味だよ」
「よりリアルな本音って感じがして」
会話を割って鳴ったスマホの音は屋外レジャー仕様で大きめに設定されていて、砂から腕を出したユメはクリアバッグに掛けられたタオルで手を拭い、屋台へ向かった後輩からの着信マークをタップし、スピーカーモードに切り替えた。
「先輩達ー、かき氷と焼きそばとフランクと冷やしパインとフローズンとビールと高級ステーキ串が持てないんで来て貰っていいっすか」
「HeyHeyHey!!うぉい!!そんなに買っていいとは言ってねぇぞ!」
「ひざしが財布ごと渡すから」
「罰ゲームなんでね!待ってまーす!」
切れた電話に向かって緩く笑ったままのユメは、冷たい砂の心地良さにまだ眠そうにモゾモゾしている。
ならそんな野郎の荷物なんて俺が全部持てばいいと、胸に盛られた砂を崩して身体を起こした。
「寝てろよ俺行くから」
「え、だめだめ罰ゲームだから行くよ。ひざしこそそろそろ一人にしてあげないとね。……ほら、あそこのお姉さん、ずっと声掛けたそうにひざし見てるんだよ」
「ハー?」
「って事で!私もさっきお店のお兄さんに連絡先聞かれちゃったんだ、ついでに行ってくる」
「……あ?」
その瞬間、スマホをバッグにしまう後ろ姿が違ったものに見えて、むしゃくしゃと急速に苛立ち始める。
砂を落とすユメのタオルが身体中を這い、剥き出しになっていく素肌が知らない匂いを漂わせるせいで、思わず吸い寄せられた唇に砂がついた。
「え……今……何……した?」
「……ッ!?」
なんでもなく隣にいたユメが男を見る事があるなんてそんな当たり前な可能性を、これまで考えたことがなかった事に一番驚愕しているのは自分だった。
慌てて振り向き、背中から唇に移ってしまった砂を腕で拭う一部始終を見ていたユメもまた、目を開ききっている。
「……んでもねェ」
今さら目のやりどころに困る無いこともない胸から目を逸らせば、ユメの肩から下がるバッグの中で、催促する着信が徐々に音を小さくした。