作業曲:sincerity is scary The 1975
倦怠の枕元



無からの目覚めは一見空っぽなようで、
シルクに抱かれたような温かさを纏っている。

その理由が隣にある事を認識した目が、
普段の寝起きの悪さを覆すように、二度三度、
瞬きの度に覚醒した。


年甲斐もなくはしゃいだ昨夜を回想し、
自分がこれなら、
ユメはまだ目を覚まさないだろうと推測する。

盛り上がった枕の端が邪魔で、その顔は見えない。
そっと距離を縮めて枕の角を押し付ければ、
眠り姫が枕の中央に沈んでいた。


できるだけ動きを少なくしなければ。
枕を押したり浮かせたりを繰り返せば、あっちを向いてしまうかもしれない。折角だからこの手の代わりにと慎重に擦り寄り、押さえた枕の角に、頭を乗せる。

布団を挟んで巻き付けている彼女の脚の隙間にゆっくり腿を差し込み、反応を伺う。
寝返りをする様な動きにしまったと思ったが、暖を取りたいのか、ユメは吸い込まれるように願ったまま腕の中に収まった。

泳いだその手のひらは胸に突き当たり、
輪郭から存在を確認しようと、
むぎゅむぎゅ背中に回される。

動いた今のチャンスを逃さぬよう、あと数分で鳴ってしまうユメの携帯を布団の奥へ押しやり、寝相に紛れて抱き返す。できるだけ無駄な動きを無くすべく、手のひらは撫でたかった頭へ。


自身の体を取り込んでいく温もりに、
心底自分の方が熱くて良かったと思う。

リネンの香りに溶ける肌の匂いを吸い込み、
腹を満たし、
より深く満たすため、目一杯に息を吐く。

鼻先で滑らかな髪を撫で、
そう長くは持たないだろう布団役に専念した。



倦怠の枕元


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