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視界の外である上から降る瓦礫に小狼は俊敏に反応し、見事な足さばきで軽々と両断した。息をのみ、じっとこらえるように見守る●●は小狼の戦いに引かれるように数歩前に出た。●●の意識は小狼の背を追う。
そんな●●とは正反対に、ファイと黒鋼の様子は何ら変わりなかった。ただそれは小狼について何ら興味もなく身体の安全を気にも留めていないという態度ではなかった。
「かっこいい―――、小狼くん」
「素直が取り柄のバカじゃあねぇようだ。おまえがただのふざけたヤロウじゃねぇってのも、見抜いてたみたいだしな」
「うん。とりあえず遺跡発掘が趣味の男の子ってだけじゃないね。‥‥まだ子供だけど、色々あったのかもね、彼にも」
黒鋼は意識の焦点を小狼から手前の●●の背へと移した。それを察したファイは同様に視線を移し、言葉を待った。
「読めねぇのはあいつだな」
「どいうことー?」
目的達成のための手段として戦うことをすぐさま思いつき選択できる3人とは、●●は全く異なっていた。●●とて強さの持つ力を理解していないわけではない。そして単に臆病なだけとは違うであろうことは黒鋼には分かっていた。とはいえ今の黒鋼に、何が彼女をそうさせるのか、戦いでなければ何を選択するのかは分からないが。昨日の昼食中、正義との会話の中で●●が何か言葉を飲み込むような表情をしていたことを思い出す。
「見た目は大人だがガキみてぇなバカだなと思ってると、不意に違和感を感じる瞬間がある」
「それ、本人が聞いたら怒るよー」
「絶対言うな」
「気に入らない?」
「んなこたぁ、言ってねぇ」
この話は終わりだと言わんばかりに黒鋼は顔の向きを少しずらした。黒鋼の意図を理解しつつもファイはしばし●●の背を見つめた。