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空間把握をおぼつかなくさせるような一面の黒の空間に、人の背丈ほどありそうな大きな鏡が置かれていた。そこには阪神共和国にいる●●たちの様子が絶えず映し出されていた。
「‥‥記憶が一つ、戻ってしまったようですね」
そうは言いつつも、黒い瞳の少女は特に残念そうといったそぶりは見せなかった。
その少女の後ろで椅子に深く腰掛けていた男は、少女のその言葉をさして気に掛けることもせず「ああ」と答えた。
「しかしこれからの旅も今回のような幸運に恵まれるとは限らん。―――時空を越える力は必ず手に入れる。たとえ、どれだけ血が流れようとな」
男の纏う衣服には、血を想像させるような赤い紋があった。少女の胸元にもまた、同様の紋があった。同じ空間、同じ紋を共有してはいれど、二人の間に共有する思いは存在しない。