眩しい笑顔に出会う
そういえば、リヴァイさん(リヴァイ兵士長も含む)から何か物を貰うというのは初めてで、余計に嬉しさが増した。兵士時代は、プレゼントを渡す余裕も貰う余裕もない、殺伐とした日々を過ごしていたし、そんな時代を生きる中で、想い人と恋人同士になれた私は物凄く恵まれていたと思う。鏡をくれた彼は兵長ではないとわかっているが、それでもやはり嬉しかったのだ。結局のところ、それだけリヴァイさんが好きだということだ。「あー、いくら眺めていてもあきないな。」
そう独り言を呟きながら、大学の食堂にて私は鏡を眺めている。あの休日から数週間は経ったが、どれだけ鏡を眺めていても飽きのこない私は、もはや変人なのかもしれない。大学の友人に、さんざん「気持ち悪い。」と言われても、全く気にならなかった。授業までの空き時間をいつも友人と食堂で過ごしているのだが、鏡ばかり眺めている私を、彼女たちは呆れてどこかへ行ってしまった。ふと時計に目をやると、もう少しで授業が始まる時間。そろそろ行くかと立ち上がった瞬間、少し離れたところに座っている男の子と目が合った。
「う、うそ…。」
相手も私に気がついたようで、慌てて立ち上がり、こちらに駆けてきた。
「ナマエ…だよな?」
「エ…エレン?エレンなの?」
目の前に立っている大きな瞳の学生は、間違いなく、エレン・イェーガーだ。私と同じく104期生の一人であり、調査兵団で共に戦った、あのエレンだ。まさか彼にまで出会えるとは、そう思いながら驚きのあまり声も出ず固まってしまった。
「ナマエ、お前は記憶があるんだな?」
「う、うん。全部覚えてるよ。エレン。」
思わずエレンの手をとり、表しきれない再会の喜びを伝えた。話を聞けば、同じ大学の違う学部に通っているらしく、ミカサとアルミンも在学しているらしい。彼らには記憶はないとのことだ。ハンジ分隊長も、エルヴィン団長もいるんだよ、と伝えれば、彼は嬉しそうに笑った。
「なら、リヴァイ兵士長もいるんだろ?」
「いるよ。記憶はないけれどね。」
私が答えると、エレンは少し悲しそうな表情になり、「そうか。ナマエも辛かっただろ。」と言った時には驚いた。まさか彼にまで兵長を想っていたことが知られていたのかと。そう言うと彼は、「みんな気づいてたに決まってるだろ。」と笑った。きっとエレンも辛い思いをしたのだと思う。あれだけ信頼し合っていたミカサとアルミンの記憶がないのだから。それでも彼は、「この世界でもアイツらに会えて、俺は幸せだ。」と嬉しそうに話してくれた。
「勿論、お前に会えたこともだ、ナマエ。」
そう笑ってくれるエレンはとても眩しかった。その笑顔が向けられるだけで、とても温かな気持ちになれた。