目に映すはどちらの君か
気持ちを伝えたくて、伝えたくて、じっとしていられなかった。すぐにでも会いに行きたかったが、勢いで行動はすべきではないと思う。伝えたいこと、気持ちをしっかりと考えよう。そう思い、家に帰ってハンジさんに電話をしてみた。彼女はうん、うん、と真剣に話を聞いてくれ、「そこまでリヴァイを想っているなら、伝えるべきだよ。」と背中を押してくれた。「君達は、幸せになっていいんだよ。」
最後の彼女の言葉が、頭から離れなかった。
***
その翌日は、いつかのような雪の日だった。はあ、と息を吐くと真っ白で。しかし、寒さも気にならなかった。また、あの日のように寒空の下、彼を待っている。また怒られてしまうだろうか。怒られないために、防寒はしてきたのだが。「なんとしても、リヴァイを定時に上がらせるから!」とハンジさんが言ってくれたが、それはなんだか申し訳ない。就業時間の少し過ぎた頃、彼はビルから出て来た。
「…てめぇ、また風邪をひきたいのか?」
「また看病してもらえるなら、それも良いかもしれませんね。」
「しねぇよ。」
「今日も、リヴァイさんを待っていたんです。」
この間も、本当はあなたに会いたくて早い時間に来てしまったんです、と伝えると、彼は少し目を見開いた。
「…やけに素直じゃねぇか。」
「へへ。…少し歩きませんか?」
彼は頷くわけでもなく、歩き出した。こんな寒空の下を歩かせて申し訳ないが、少しだけ時間が欲しかった。
「…何を考えている、ナマエよ。」
「そうですね、敢えて言うなら、あなたが好きだということです。リヴァイさん。」
我ながら唐突だなと笑ってしまう。けれど、それだけなのだ。ただただあなたに惹かれているのです、と。彼は、黙って私の横を歩く。それでいい。答えが欲しくて伝えたわけではないのだから。
「困らせてしまってすみません。どうしても伝えたかったんです。」
「…いや、困ってねぇよ。」
彼は複雑な顔をしていた。何を考えているのか、さっぱり見当もつかない。もしかすると、優しい彼のことだから、どう答えたら傷つかないのか考えてくれているのかもしれない。
「あの、リヴァイさん、」
「なぁ、ナマエ。お前は、誰かと俺を重ねているんじゃないのか。」
そう言われた瞬間、私の中の時間が止まったような錯覚に陥った。いつ、そう感じさせてしまったのだろうか。いや、私は結局、兵長とリヴァイさんを重ねていたのか。完全に否定は出来ないと思った。
「…否定は出来ません。」
なんとか紡ぎだせた言葉は、これだけだった。彼は、「そうか。」と一言呟いた。雪がしんしんと降り積もっていく中、私たちは駅まで歩く。彼がそれ以上私を問いただすことはなかった。