心の奥で繋がりを感じる
何よりも、誰よりも大切だった。立場上、その感情を表に出すことは許されなかったが、俺の心に安寧をくれる唯一の存在だった。共に過ごした時間は極僅かだが、鮮明に思い出せるのは、それだけかけがえのない時間だったということだろうか。恋人らしいことなど、何一つしてやれなかった。あんな時代でなければ、兵士でなければ、と何度思ったかわからない。それでも、全てを投げ出せるほど、愚かにはなれなかった。「俺達は、二度出会っている。」
そう言えば、きょとんと不思議そうな顔をしているナマエ。当然の反応だろう。
「二度って…。一度、離れたということですか?」
「まあ、そうだな。一度目は前世で出会っている、と言ったらお前は信じるか?」
前世での俺たちは兵士だった、と言えば、ますます困ったように首を傾げる。さすがに信じろと言っても無理な話だろう。前世で出会っていたなど、証拠は一つもない。それでも、嘘偽りなく話すべきだ。そう思い、話を続けた。前世での俺達は恋人同士であったこと。だが、その世界は死と隣合わせであり、お前を残して俺が死んだこと。そして何より、幸せにしてやれなかった。それを酷く後悔していることを。
「俺は何もしてやれなかった。何も伝えてさえやれないまま死んだ。再び現世で出会った時は、俺には前世の記憶がなく、お前には記憶があった。そのことでまた、酷くお前を傷付けた。」
「…リヴァイさんも記憶がなかったんですか?」
「そうだ。そんな俺に、記憶など関係ないと言ったのがお前だ、ナマエ。こんな俺を好きだと言ってくれたのも、全部お前だ。」
初めて言葉にして伝えれば、更に愛しさが増す。もっと早く、こうしておけば良かった。昔、出来なかった分まで幸せにしてやりたい。今度こそ守り抜き、共に未来を歩みたい。
「俺の話を信じるか?」
「リヴァイさんが、嘘を吐くとは思えません。けど、そんな話を聞いてしまったら、なおさら思い出したくなりました。リヴァイさんと恋人同士だった時の記憶がないなんて、勿体無いですもん。」
笑って答えるナマエ。こいつは、どこまでも俺を受け入れる。いつだってそうだった。
「ナマエ、俺の側にいてくれ。そこで笑っているだけで良い。」
「…はい。」
頬を染め、恥じらいがちにそう言うナマエを見れば、身体が勝手に動き、気がつけば抱き締めていた。驚いたのか、ナマエの身体がびくりと跳ねた。それに構うことなく、更に力を込める。
「…好きだ。」
抱き締めたまま、初めての言葉を口にする。その言葉を聞いて顔を上げたナマエも、何か言おうとしていたが、それを遮るように唇を塞いだ。