初めましてをもう一度

最近の私の生活は、今までにない程に充実していた。エルヴィンさん伝いで、バーベキューの前にハンジさんとの再会を果たし、大学生となり、一人暮らしを始め、慌ただしい毎日を過ごしている。同じ記憶を持つ人に出会えたことによって、心のゆとりが出来たように感じる。少しずつだが、前に進めているのかもしれない。それも彼、リヴァイさんに会ったらどうなるのかはわからないけれど。


バーベキュー当日は、アウトドア日和と言っていいほどの快晴だった。朝、エルヴィンさんが車で迎えに来てくれることになっているので、いそいそと準備をしている次第である。今回のバーベキューは、エルヴィンさんの部署の方主催のもので、その方々の家族なども参加するらしい。私は場違いではないのかと不安に思ったが、エルヴィンさんもハンジさんも、「絶対に大丈夫」と言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。

約束の時間の20分前に家の外に出た。どうも、家でじっとはしていられなかった。車が前の道路を通るたびに、緊張が高まる。落ち着くために、深呼吸をしようと息を吸い込むと、目の前に車が停まり、運転席の窓が開いた。


「おはよう、ナマエ。昨日はよく眠れたかい?」


「げほっ、すみません。おはようございます!ぐっすり眠れましたよ!」


実際は全く眠れなかったが、心配はかけたくなかった。笑顔でそう答えながら、ふと助手席側を見ると、胸がぎゅっと痛んだ。怪訝そうにこちらを見ている、リヴァイさんだった。


「リヴァイ、紹介するよ。私の親戚のナマエだ。」


「は、初めまして。ナマエです。」


「…お前、こないだ駅で会ったガキじゃねぇか。」


「あの、この間は突然すみませんでした…。」


なんとも言えない雰囲気になりかけたところで、後部座席のドアが開き、明るい声が聞こえた。


「おはようナマエ!早く乗りなよ!」


「ハンジさん!おはようございます。」


後部座席のハンジさんの隣に座り、息を吐いた。どうやら、この車には4人しか乗らないらしい。他にも何台かの車を出して分かれて乗って行くそうだ。もう一つ後ろの座席には、大きなクーラーボックスや、食材が積んであった。


「おい、ハンジ。てめぇもこのガキと知り合いなのか?」


「ガキじゃなくてナマエね。うん、昔から何度か会ってるんだ。妹みたいに可愛がってる!」


そう言って、頭を撫でてくれた。


「エルヴィンとハンジの知り合いが、人違いで俺に声をかけるとは、すごい偶然だな。」


何らかの意図を含んだような言い方で空気が一瞬凍った。少しの間を置いて、慌ててハンジさんが口を開いた。


「…ほんと、すごいよね!ビックリしたよ。これも何かの縁だし、良くしてあげてよ。リヴァイ。」


「よっ、よろしくおねがいします!」


勢いよく言いすぎて、声が裏返ってしまった。恥ずかしくて赤面していると、エルヴィンさんとハンジさんが声をあげて笑った。


「力みすぎだぞ、ナマエ。せっかくの休日なんだ。楽しまなくてはね。リヴァイも顔を顰めるなよ。」


「俺はもともとこういう顔だ。悪かったな。」


だんだんと和やかな雰囲気になり、そのまま車は目的地へと向かって走った。こちらの世界でも彼ら3人はとても仲が良いようで、そんな様子を見ているだけで、嬉しく思えた。久しぶりに聞く彼の声はやはり心地よく、過去の記憶が甦りそうになる。だが、現在と過去を混同してはいけない、と必死で記憶に蓋をした。


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