醒めない夢を見る

「何をニヤついていやがる。」

そう声をかけられた私の手元には、彼から以前貰った、手鏡がある。そう、相変わらず私はこの鏡を見ると顔が綻んでしまうのだ。あれから随分と月日が経ったにもかかわらず、彼からのプレゼント(と言えるのかは疑問だが。)は、絶大な威力を保っている。

「だって、リヴァイさんから初めて頂いた物ですから!」

私の宝物なんですよ、と伝えると、「そんな安物がか。」と呆れた口調で言われてしまったが、気にもならない。大切なことに変わりはないのだから。長い擦れ違いから、ようやく想いが伝わって、幸せな反面、勿論不安もある。空白の期間を埋めるかのように、お互いについて話し、理解し合っている最中だ。

「…そんな鏡じゃなく、何か欲しい物はないのか。」
「え、ないです。満ち足りてます!」

即座にそう答えると、舌打ちをされた。それも、全く気にならない。

「…ナマエよ、お前はもっと我が儘を言っていい。」
「我が儘…ですか?」
「そうだ。」

俺はお前を甘やかしてやりたいと思っている、と呟いた彼の言葉を聞いて、嬉しくて泣きそうになる。

「…それなら、物はいりません。一緒に、手を繋いで、どこかにお出掛けしたいです!」

そう答えると、予想外の答えだったのか、リヴァイさんは固まっていた。「駄目ですか?」と顔を覗き込むと、ぐい、とひき寄せられ、私の身体は彼の腕の中にすっぽりと収まった。

「そうか。なら、どこへ行きたい?」
「そうですね、海なんてどうですか?」

抱き締められたまま、そんな話をする。耳元で話されるのは少し擽ったかったが、それすらも幸せに感じた。「海か…。悪くない。」そう答える彼は多分、笑っている。顔は見えないけれど。

これから、一緒に色々なところへ行きましょう。同じ景色を見て、一緒に笑いましょう。あなたが隣にいてくれるのなら、それだけで私は幸福になれるのだから。
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