赤と白のコントラストが映えるデザインがとても可愛い制服を身にまといヒール低くめのブーツのかかとを鳴らしながら昼休みで騒がしい廊下を歩いていたとき。

「――――呉子!」
「あ、尚香ちゃん」

 呼び声に振り向くと、手を振りながら走ってくる少女――私の幼馴染であり陽虎学園の校長の娘でもある――がいた。名前は孫尚香。

「ねぇねぇ呉子、今日の放課後私の用事に付き合ってくれないかしら」
「それはいいけど。買い物?」
「買い物じゃないの」
「じゃぁ手伝い?」
「手伝いでもないわ」

 買い物でもない手伝いでもない。「他に用事と言えば……」と首を傾げても教えてくれる気はないらしく「行くまで内緒よ。――ほら、お昼食べに行きましょ!」と言って私の手を掴み購買へ向かうよう促す尚香ちゃん。
 2種類のパンを2個ずつ購入し、養護教諭をしている幼馴染の練師ちゃんとともに保健室で3人仲良く昼食をとった。

 それから時間はあっという間に過ぎて眠たい午後の授業が終わると、帰りのホームルームが終わるやいなや離れた教室にいるはずの尚香ちゃんがやってきて「早く行くわよ呉子!」と催促してくるから慌てて帰り自宅をすることになった。

「尚香ちゃん、なんでそんなに急いでるの?」

 「ていうか少し興奮してない……?」と聞いても「そんなことないわよ!」と否定された。……って言ってるわりに顔赤くなってるし嬉々としてるんだよね。 
 尚香ちゃんに手を引かれるままに着いて行けば辿り着いたのは私たちが通う陽虎学園の最寄り駅。徒歩通学の私や尚香ちゃんにとって娯楽街まで買い物や遊びに行かない限りは縁のない場所だ。

「これから来る電車に乗れば今から1時間くらいかしらね」
「1時間!?――……私はどこに連れていかれるの?」
「着けばわかるわよ」

 電車で1時間くらいとなると料金もそれなりにお高くつくようで「切符代は私が出すから。ね?」という尚香ちゃんに甘えさせてもらい、数分も待たずにやってきた電車に乗り込んだ。
 ちょうど下校の時間だからか乗り込んだ車両には私たちと同じ赤を基調とした制服を身にまとった生徒しかいない。
 初めこそ下校する生徒が多すぎて椅子に座ることができなかったけど40分ほど経った頃には車両の中には私と尚香ちゃんの2人だけになっていた。

 電車に乗り込んでからニコニコしっぱなしの尚香ちゃんに「ご機嫌だね」と言えば「だからそんなことないわよ!」とどう聞いてもご機嫌そのものな声で返された。
 心地よい電車の揺れでウトウトしかけてきたとき尚香ちゃんの「降りるわよ呉子」という声で目を覚まし彼女のあとを着いて行く。

 降りた駅はなんというか、とても長閑な場所だった。

 辺りを見渡しても目に映るのは山々と畑くらい。駅の入り口に飾ってある地図に 大徳工業 という文字だけがでかでかと書いてある。どうやらそれ以外に目立つような建物はないらしい。


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