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それにしてもあのバンダナ少年、どっかで見たことあるような気がするんだよなあ。
備え付けのベッドの隅に腰掛けて、隣でぼふぼふと跳ねるチカ達を見ながら、さっきの少年の顔を思い浮かべる。あんなに特徴的なバンダナをしてるなんて、一回見たら忘れられないファッションだ。一体私はあのバンダナ少年をどこで見たんだろう。

「ピーカッ」
「ピチュー!」

心配そうな時とは打って変わって、ただ楽しそうにはしゃぎながら飛び跳ねるチカとニイ。ジョーイさんがはっきり大丈夫と言ってくれたので、彼らも安心したのだろう。もちろん私も安心した。安心したら、なんだかお腹が空いてきたな…。
窓から見える外は、少しオレンジに染まっていた。大体5時くらいだろうか。いつもはお腹が空いたらその辺にある木の実をかじっている上、一騒動あったので、よりお腹は空腹を訴えていた。

「ピカー!」
「うわっ」

いきなり飛び付いて来たチカを受け止める。その後立て続けに飛び込んで来たニイもしっかりキャッチしたが。何だろう、この子たちやけにテンションが高いな。
腕の中できゃいきゃいしている二匹を見て内心首を傾げた。
チカはそのテンションのまま再びベッドに這い出し、ぼよーんと飛び跳ねるのを再開した。ニイも腕の中から抜け出して、窓辺に上り、カーテンを開けたり閉めたり。ひらひら揺らめくカーテンと戯れるニイの後ろで、チカはベッドから降りて備え付けの冷蔵庫を開けた。そして顔にかかった冷気にブルッと体を震わせ、一旦扉を閉めてニイに声をかける。呼ばれて窓辺から降りてきたニイが隣に立つと、チカはバッと冷蔵庫の扉を開け放った。二匹してブルッと体を震わせる様子に、思わず吹き出してしまう。
ああ、そっか。この子たちは野生に生きているから、人間の生活を知らないんだ。だから、初めて見る物触る物に好奇心いっぱいで、テンションが上がってるんだ。
チカとニイの行動に笑ってしまいながらも、気になって見守っていると、ふと冷蔵庫の隣にある机にパンフレットが置いてあるのが目に入った。
立ち上がってパンフレットを手に取ると、どうやらそれはポケモンセンターの説明書のようだった。再びベッドに座って、目次を開く。無料で受けられるサービスや、宿泊の期限、食堂利用について、部屋の使い方等々、ポケモンセンターを利用するにあたってのことがいろいろと書いてあるようだ。
その中で今一番気になった食堂利用についてのページを開いて、しっかりと目を通す。バイキングと定食等と、好きなほうを選べるらしい。食べ終わったら自分でカウンターまでお皿を返しに行くこと。雑談をするときは、食事をとりたい人の席がなくなってはいけないので食堂ではなく待合室を利用すること。飲み物はおかわり自由。ポケモントレーナーの方は無料で利用できる。等々、書き込んであることをしっかり熟読して、ハッとした。私トレーナーじゃないから利用できない…!?
お腹すいたのに、なあ…。急激に訴えてきたお腹の虫を気合で黙らせようとしながら続きを読むと、一番下に米印で注意書きがしてあった。

「トレーナーではなくても、ポケモンの治療のためにポケモンセンターを利用した人は、無料で食事ができます…?」

ということは。テイの回復を頼んでいる私は食堂を利用してもいいってことか!
やった!と内心ガッツポーズして、自らの足の様子を確認。力を入れて立ってみると、少しふらついた。
そのまま、ぽすんと再びベッドに腰を落とす。よし、もう少し足がまともになったら食堂に行ってみようっと!




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