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席に帰ると、まずニイが至福そうに緩む頬を押さえながらポロックを口に運ぶ光景が目に入る。あんなに大きなお皿いっぱいに入っていたポケモンフーズは、もう空っぽだった。さすがニイ、食べる速さが異常だ。
チカは味わいながらゆっくりと食を進めていた。
周りの目を気にしながらチカの隣に腰を下ろして、久々に見るカレーの匂いをいっぱいに吸い込む。うわあ、カレーだ…!
とたんに心の中はカレーでいっぱいになり、カレー以外は眼中になくなった。スプーンですくって、まず一口目。
ぱくん、と口に入れたとたん、その幸福感に思わず満面の笑みが浮かんだ。
うわああ、お米だ…!カレーだ…!
木の実生活も悪くはなかったが、やはり米は恋しかった。じっくりゆっくり味わいながら、カレーを存分に楽しんでいるうちに、チカとニイは自分の食事を終えてしまい、だらしなく顔を緩めながらカレーを口に運ぶナツミを見ていた。それにも気づかず、ナツミはカレーの味を十二分に堪能して、ご飯粒ひとつ残さずきれいに食べ終えた時には、ピカ服のことなど頭の中からとんでいた。
「ごちそうさまでした!」
「ピカチュウ」
「ピチュピチュ」
皆で合掌して、カウンターにお皿を戻しに行く。
そのあとそれぞれが満足気な顔をして部屋に戻りながら、ナツミはふと口を開いた。
「明日の朝は、テイも一緒にご飯食べようね」
「ピッチュ!」
それがいい!とチカとニイは頷いた。
部屋について、扉を開けたすぐわきにあるドアが気になって、ガチャリと開けてみるとそこは。
「お、お風呂だ…!」
お風呂というよりも、トイレとお風呂が一緒になったユニットバスというものだったが、それでもなんでも構わない。とにかく思ったことは、久しぶりに体を洗えるという何とも言い難い感動だった。
着替えとして浴衣が置いてあったし、このピカ服も洗うことができる!こんなことならセーラー服も持ってきておけばよかったと思ったが、そんなことを考えていられるような事態ではなかったかと思い直した。
チカたちにお風呂に入ってくると言って、さっそくシャワーを浴びることにした。お風呂という言葉に首をかしげていたようだったので、後でお風呂に入れてあげようっと。
いつもはトキワの森にある綺麗に澄んだ湖で洗っていたが、久しぶりにきちんと泡を使って体を洗えることに嬉しさを感じて、思わず鼻歌を歌いながら頭や体の汚れを落としていく。シャワーで泡を流した後、今度はピカ服を洗う。もちろん服用の洗剤なんて置いてないので、ボディソープがその代わりだ。
泡が残らないよう丁寧に水洗いして、しわにならないようにパン!と伸ばす。着方が分からなかったので適当に浴衣に着替えて、洗ったピカ服を片手に出ると、チカとテイが不思議そうな顔をしてドアの前にいた。
「…お風呂、入る?」
二匹がパッと顔を輝かせて頷いたので、ピカ服を窓の桟に干してから、二匹を連れてお風呂場に逆戻り。やはりシャワーやシャンプーの泡が珍しかったようで、盛大にはしゃぐ二匹を洗うのは骨が折れた。
それから二匹の体を拭いて、久々のベッドに倒れこみ爆睡したのはすぐのことだった。
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