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部屋を出て、真っ先にジョーイさんのいるカウンターを訪れたが、今最終チェックの真っ最中だそうで、もう少し時間がかかるということだった。

「じゃあ、あっちに座って待ってます」
「お願いします。検査が終わったらすぐにお知らせしますから。…足は、もう大丈夫ですか?」
「あ、はい。昨日はお手数かけました。ありがとうございました」
「どういたしまして。それではもう少し待ってて下さいね」

にっこりしたジョーイさんに返事をしてから背を向けて、待合室と呼ばれるカウンター前の椅子一帯に向かう。チカがそこにある大きなテレビ画面に興味を示したので、テレビの前の連なった椅子に腰掛けた。ニイは私の膝の上に。チカは隣の椅子に座って、興味津々に画面を見た。
各地の木の実特集ではニイが食い入るように身を乗り出して紹介される木の実をガン見し、街中での自慢のポケモンインタビューでは、次々と映る様々なポケモンにチカがじっと画面を見つめたりと、テレビ慣れしている私でも珍しい番組に、私達は言葉を発することなくしばらくテレビを見ていた。
ふと、チカが立ち上がり、テレビの下にあるボタンを押した。するとチャンネルが変わって、きらびやかな衣装を来た女の子とプラスルとマイナンが映り、画面いっぱいに二匹の電撃が走った。
しかし、チカは続けてボタンを押したので、すぐにチャンネルは移り変わる。今度はポケモンバトルのようだ。バトルも見たいけど、たぶんコンテストだと思われるさっきのチャンネルが気になって、チカに声をかけた。

「あ、チカ今さっきの!チャンネルいっこ戻し――」

言いながら画面に向けていた目に映ったものに、言葉も思考も、何もかもが固まった。
モンスターボールの模様の入った帽子。そこからのぞく真っ黒の髪。指示を飛ばすその手には、指が出る形のグローブ。そして傍らには雄のピカチュウが。
意志の強い黒い瞳は、真っ直ぐバトルフィールドを見ていた。

〈サトシ選手、最後のポケモンはゴウカザル!息詰まるフルバトルも、両者最後のバトルとなりました――〉





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