27
ライチュウ達と一日ぶりの再会を果たして、柔らかく弾力のある布団ではなく草のベッドで就寝し、翌朝を迎えた。朝ごはんはいつも通りの木の実である。早くも米が恋しくなってきたが、無料で提供されるポケモンセンターのご飯も、治療回復に利用したか、またはトレーナーでなければ有料となる。今日はテレビを見に行くつもりだが、そういうわけで食堂を利用することは出来ない。持ち金ゼロだし、トレーナーである以前の問題だ。
また、変わらぬ野性的日々が戻ってきたな。そう思った朝食後に、事件は起きた。
……あれ?なんかおかしいな…。違和感を感じて、まさか、と慌てて確認をしたのが始まりだった。
「最ッ悪だあああ!」
思わず叫んで、頭をかかえる。
来ないからすっかり忘れてた!こういう時、性別が女であることを呪いたくなる。つまり、生理がきたのだ。
空気読めよこのやろう!と、お腹を殴りたくなるが、自分が痛いだけなのでやめておく。どうして一月くらい飛ばして来てくれなかったのか。いつもは不定期で、一月や二月余裕で飛ぶのに、こういう時に限ってきちんと周期を守るから困る。くるのを遅らせてくれたら、一月後には、こういうことに対処出来る環境にいたかもしれないのに。ただの可能性なので、一月飛んだところで何も変わらないということもあるだろうが、今はただ文句を言いたくて仕方がない。
朝から頭の中を占めていたテレビなんて最早どうでもよくなった。いや、やっぱりサトシは大事だ。どうでもいいことは全くないけど、優先順位は断然今起きている状態の方だ。
ああああどうしようどうしよう!
頭をかかえて座り込み、焦りだけが心を覆う。悩んでも悩んでも解決策が浮かばない。でも早くしなくちゃ、服とか羞恥心とかその他もろもろが大変なことになる。
その時、ガサッと向こうの茂みが揺れた。
「ピカピ」
チカだ。たぶん、帰って来ない私を心配して探しにきたんだろう。今はあまり来て欲しくなかったんだけどなあ…。
「ッピカ!?」
トコトコ近づいて来ていたチカが、急に驚いた表情になった。そして慌てたように駆け寄ってくる。
「え、どうしたのチカ」
私の声を無視し、鼻をひくつかせて執拗に空気の臭いを嗅いでいる。そして、小さな両手を私の体にあてた。
「ピカピ!」
「なになにどうしたの」
「ピィカチュウ!」
私の体を焦ったようにペタペタ触って、チカは心配そうな表情で見つめてくる。
もしかして、血の臭いを嗅ぎつけた…?
「…チカ、私怪我してないよ」
「ピカ!」
「ほんとに。だから心配しないで。これにはやむを得ない事情があって……」
チカと向き合って喋っていると、ふと、チカからピカ服、そこから連想して思い出されたことに、ハッとした。
そうだ!
「チカ、ニビシティに案内して!」
「ピ…?」
「お願い!」
チカは戸惑いながらも頷いた。
ニビシティに向かうためゆっくり立ち上がる。その瞬間に感じた、ごぽりと擬音が付きそうな嫌な感覚に思わず顔をしかめながら、先を駆け始めたチカの後を早足で追った。
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