04
完全な夜が訪れた。
森の中の住人達は眠りにつき始めたようで、辺りはとても静かだ。それはピカチュウ一家も例外ではなく、それぞれが眠りに入ろうとしていた。
場所は最初にピカチュウ一家と出会った所。ここがピカチュウ達の本拠地らしく、この場所から離れることはあまりなかった。皆はひとつに集まって草むらの上に丸まる。その中に加わっていいのかと悩んでピカチュウ達を見ながら立っていると、あの双子のようなピチュー達が駆け寄ってきた。
「ピチュ」
私の後ろに回って二匹で足を押してきた。前へ進めということらしい。押されるままに歩いていくと、ピカチュウ達の寝床に誘導されていることに気が付いた。
「……私も一緒に寝ていい?」
「ピチュ!」
二匹は揃って頷いてくれた。癒されるなほんと。許可も得たので、ピカチュウ達と同じように草むらに寝転がって少しだけ足を抱えて丸まる。するとピチュー兄弟は私の腕の中に潜り込んで来た。
「わ!」
びっくりして声をあげると、ピチュー達はきゃっきゃとはしゃいでしがみついて来た。か、かわ…!なんて可愛いのこの子たち……!思わずぎゅうと抱き締める。
するとピチュー達は楽しそうにキャーと笑った。
「ラァイ」
前に丸まっていたライチュウがごろんとこっちを向いて、咎めるような声を発した。うるさかったみたいだ。
ライチュウに謝って再び眠りにつくまで見守った後、ピチュー達と顔を見合わせて小さく笑う。あれ、そういえばあのピカチュウは?
前にいるのはライチュウと尻尾の先が割れたピカチュウが二匹。あのピカチュウは男の子だったから違う。上を見る。いない。下を見る。いない。そしてピチュー達を抱えたままごろんと後ろを振り返った。…あ。
「ピカチュウ?」
いつの間にか後ろにいたピカチュウに声をかける。雄と雌の区別はつくものの、個々の違いは分からないので、このピカチュウが木の実をくれたピカチュウなのか予測がつかない。
「木の実をくれたピカチュウ君?」
もう一度聞くと、こくん、とピカチュウは頷いた。合ってたみたいだ。寝転んでいたピカチュウは起き上がってこっちに近寄って来て、セーラー服の裾をくいっと引いた。
「どうしたの?」
「ピカチュ」
「……一緒に寝る?」
「ピカっ」
うんと頷いたピカチュウに片手をのばして、ピチュー達とまとめて抱え込む。ピチューとピカチュウがこの腕の中にいる、なんて幸せだ。絶対に味わうことがなかったはずの温もりに自然と頬は緩む。
ピチューと一緒になって小さくはしゃいでいるピカチュウは、ふとこっちを見るとにっこりと笑顔を見せてくれた。それに返すように笑う。
抱える腕に少しだけ力を込めて、次第にやってきた眠気に身を任せて目を閉じた。
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