こんにちは異世界10

 ただ手術しただけなら元の顔にすれば良かったのに。何故そうはせず降谷と同じ顔にしたのか。疑問は一向に無くならない。降谷は前髪をガシガシと乱暴に掻き上げると、秋良に問いかけた。

「あー…取り敢えず事故にあってその顔になったって言うのは理解した。でもなんでよりによって俺とそっくりなんだ?」

「手術してくれた先生の好みだったそうです」

「は?」

 予想だにしなかった言葉に、降谷は阿呆面満開でぽかんと口を開けた。

「えーと、安室さん…ですよね?先生は安室さんのご近所さんみたいでよく観察していたみたいです」

「………」

「先生、頭はすっごく良いんですけど何も考えずに行動する人なんです!僕もまさか他人の顔にされてるなんて…!」

 変人なんです!とさめざめと泣く秋良。苦労が窺えるその顔に、降谷は少しだけ同情した。

「ちなみに、先生って言うのは…?」

「広末千代美さんって名前で、見た目20代中盤なんですけど…実年齢はちょっと…。あっ、実際にあってお話します?僕、案内しますよ!」

 ニッコリ笑顔でそう話す秋良。話を聞く限り、彼が嘘をついている様子もない…。降谷は少し考えた末に、その先生とやらに実際に会って話をしてみる事に決めた。

「…そうだな。そうしてもらおうかな」

 何故自分と同じ顔にしたのか。普通、事故って顔が分からない場合身分を証明出来るものを調べるはずだ。実際、秋良は免許証を持っていた。ならばきっとW先生Wとやらもそれに気付いた筈だ。免許証には顔写真が掲載されている。それを見て手術する事は可能な筈なのに…。

 そもそも、そんな顔面を…いや、身体全体に及ぶ手術を行なった事に疑問が残る。そんな大掛かりな手術をするほど身体の損傷が激しかったら普通はニュースになる筈だ。しかしそんなニュースは一切出てないし、そもそも個人でそんな大掛かりな手術が出来るものなのか。…これは絶対何かある。

「それじゃあ、僕に付いてきて下さい」

 降谷の脳裏とは裏腹に、何も考えていなさそうな…平和そうな笑顔を浮かべる秋良。彼はきっと何も知らない善良な市民だ、と降谷は直感的に思った。そこに付け入っている先生が何者なのか。

「…ああ、頼む」

 降谷は違和感の正体を突き止めるべく、先生の元へ歩き出した。


 

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