こんにちは異世界11
庭付きの白い大きな一軒家。そこに住んでいるのが先生こと広末千代美だ。他に住んでるものは居らず、この大きな家に見合わず一人でひっそりと暮らして来た。…そう、今までは。「ただいま戻りましたー」
家に響く明るい男の声。最近W拾ったW男で、名前は観月秋良といった。明るく人懐っこく、料理や家事といったものも慣れた手つきでこなす器用さもある。ただ、どこか間が悪い…運が悪い男だと思った。
「…遅かったわね秋良」
とんとんとん、と規則正しく階段から降りてゆくと、そこには気の抜けた笑みを浮かべた秋良と、張り詰めた表情をしたもう一つの顔があった。
「あら、貴方は…」
「…どうも初めまして。安室透と申します」
秋良と同じ顔。でも纏う雰囲気はまるで違う。どこか警戒した面持ちの彼に全てを悟る。意外と早くバレたなと頭の片隅で思った。
「───立ち話もなんだし…どうぞ、お入りになって?」
リビングに繋がるドアを開け促すと、安室は一度ちらりと秋良に視線を向けた。…どうやら、ここに来るまでに多少は打ち解けたようだと広末は思った。自分よりは秋良の方が信用出来る、そんな顔をしている。広末は笑みを浮かべた。
「座りながらゆっくりお話しましょう?…きっと、長くなりますから」
言葉の真意に彼は気付いただろうか。きっと気付いているだろう。鋭くなった眼差しに、頭の回転は悪くないようだと広末は思った。
「そうですよ、安室さん。全ての元凶がそう言ってますのでどうぞ上がってください!聞きたいこと全部聞いた方がいいですよ!」
それに対して秋良は…。頭は悪くないと思うが人を疑う事を知らない。きっと二人の間に流れた緊張感なんて全く理解していないのだろう。失礼な言動をした事に気付いているのかいないのか…。さあどうぞと笑顔とともにリビングに安室を促す秋良。
「秋良…?」
思わず低い声で牽制するように名前を呼ぶと、秋良はひえっと大袈裟に肩を揺らした。…全く、揶揄いがいのある男だ。
「………」
そんな茶番劇を見て少しは気が抜けたのか、安室は小さく息を吐き出すと漸くその場から動き始めた。
「では、お邪魔します」
さて、ここからが勝負だ。