メーデーメーデー!04
「ところで、なんで昴さんはあの人が安室さんじゃないと思ったの?」アイスコーヒーを飲みながら問い掛けると、口元に手をやりながら赤井は静かに言葉を紡ぎ始めた。
「まず、第一印象。入店した時の彼の表情と行動がまるで別人だった」
最初の印象で人は変わる。そこで違和感を感じてしまったら後はもう全部が違和感でしかない。
「安室くんは完璧すぎる。だからこそW彼Wとの差が分かり易い。彼はすぐ表情に出るからな」
「なるほど」
「…で、ボウヤは何故安室くんでないと思ったんだ?」
一番初めに気付いたのはきっとコナンだろう。でなければ、赤井にポアロに来て欲しいとは言わないし、彼を試すような言葉を出す筈が無い。
「そうだね、一番初めに変だと思ったのは駅で安室さんに会った時なんだ」
不審感丸出しの格好でうろうろしてた所に出会ったから、とコナンは話し出す。
「あの後、流石に変だと思って、安室さんに直接聞いてみたんだ。この間駅で何してたんですかーって」
「…で?」
「全然意味が分からなそうにしてたよ。そして何やら考え込んでいた」
その姿を見て漸く別人だと確信した。安室にも思う所があったのかその時は何も言及しなかったが、いつもより神経を張っているような気がしたのだ。だから余計に疑問に思った。
「きっと安室さんも最初はWあの人Wの事知らなかったと思うんだ。けど、さっきの行動…」
「アイスコーヒー、か」
「うん。きっとお客さんの顔や好みを彼に教え込んだんだ。つまり彼がここでバイトしてるのは安室さんの指示」
だから本来なら子どもに出す筈のないアイスコーヒーを迷わず出す事が出来た。
「安室さんと繋がっている事は間違いないと思う。きっと安室さんと彼が手を組んでいるんだと思うんだけど…でも、それがなんでかが分からないんだ」
一体どういう意味があってそうしているのか。そこが分からない。
「…やっぱり、安室さん…黒ずくめの野郎共の…」
ブツブツ考え込むコナンを横目に、赤井は別の事を考えていた。安室の正体よりも秋良に取り入る方法を。こちらの方が近道だと確信していた。
「安室くんの正体が何にせよ、探るならW彼Wの方がやり易いだろうよ」
「でも、どうやって?」
「───そうだな、手始めに彼を懐柔するところから始めようか」
コーヒーをひと口含む。芳香な香りを楽しみながら、赤井は一人ほくそ笑んでいた。