メーデーメーデー!07

「そのうち収まる?そんな保証どこにあるんですか?」

 バッサリと言われたそれに、言葉が詰まる。

「エスカレートすれこそ落ち着く事などゼロに等しい」

 淡々と言い放つ沖矢さん。…あれ、何だかちょっと怒ってるような…。

「ちなみにストーカー被害の9割は女性ですが、1割は男性なの御存知ですか?…まあ、女性とは違い、男性の場合は警察等に被害相談をしない方が多いのでハッキリとした数値ではありませんが」

 つらつらと出てくる言葉。それは留まることを知らない。

「男性の被害者の殆どはW恥ずかしい、周囲にバレたくないWと言った理由だけで相談しない方が多いそうです。そしてストーカーの加害者の殆どが元交際相手や知人、職場の人など。見知らぬ人など1割にも満たないそうですよ」

 息付く間もなく話続ける沖矢さんを、僕はただ茫然と見詰める事しか出来なかった。

「…つまりその1割に入らない限り、相手は知っている人の可能性が高いです。───さて、ここまで話して何かご質問等は御座いますか?」

「ひえっ、あ、いや、無いです」

 まさかここまで世の中のストーカー事情に詳しいとは思わなかった。沖矢さんって東都大学に通ってる大学院生だって聞いてたけど…。頭がいい人って本当に何でも知っているんだなーという感想しか思い浮かばない。

「それで、誰か心当たりは?」

 再び尋ねられたそれに、今度こそ僕は口を閉ざした。

「…まあ、知り合いだったと気付くのはストーカー被害を出してからだったりしますからね。まだ何方か分からないのも無理は無いとは思います」

「…本当に知り合いなんでしょうか」

 正直本当に分からないのだ。果たして一度話しただけで、僕をストーカーしようと思う人がいるのか。…いや、もしかしたらゼロくんが知らなかっただけで、実は前からストーカーされていた可能性も…。

 うんうん首を捻って考えていると、その様子を見ていた沖矢さんがゆっくりと口を開き始めた。

「ちなみにどこから付けられてると気付いたのでしょうか」

「えっと、ポアロ出て暫くしてからですね」

 その辺から足音が聞こえてきたから間違いないと思う。

「…なるほど。では、あくまで個人的な見解ですが。見知らぬ人があの喫茶店からあそこまで付け回すとは考えられません。ポアロから出てくるの待っていたのでしょう」

 今日は18時まで仕事だった。つまりその仕事が終わるのを待っていたという事か。

「職場が割れている以上、またストーカーされる可能性は高いかと」

 至極真面目な顔でそう言われて、今更ながら恐怖が蘇ってきた。


 

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