メーデーメーデー!11
───うん、今日もだな。あれから数日経ったが、やはりポアロのバイト上がりに付けられることが殆どだった。
基本的に日中でシフトが終わる時は付けられてはいない。夜に終わるシフト時に付けられてる事が判明した。
───だからと言って、どうしようもないんだけどね!
今日も今日とて遠回りしながらストーカーを撒く。あんまりストーカー慣れはして無いらしく、素人の僕でも結構簡単に撒けるのだ。
いつもならすぐゼロくんに電話してSOSを送るのだが、今日は逆に向こうの素性を割るためにゼロくんがストーカーを付けている。なので今日は僕と相手の根気勝負。何かあったらゼロくんが助けてくれる手筈になってるので取り敢えずは一安心である。
───うーん…そろそろ諦めてくれないかなぁ。
強歩してるからいい加減僕も疲れる。ずっと気を張っていないといけないし、何よりこっちはさっきまで働いていたのだ。三十路のおじさんにはそれはもうきつい労働です。体力だって若い時の半分くらい落ち込んでいるような気がする。つまりしんどい。
───さて、どうするかな…。
チラッと手元の紙袋を見て考える。どこかのコンビニとかに入って別の服に着替えるって方法もあるけど…。
出来ればあんまり同じ手を使わない方がいい様な気もするし…。
ふむ。と考える事数分。人通りの多い道に出て、どこかに入れる場所がないか周りを見渡した所で、ふと見知った顔が目の前を歩いて居ることに気が付いた。
「…おや、これは安室さん」
「こんばんは、沖矢さん」
ばったり。何だかストーカーされてる時に沖矢さんに会う回数が多い気がするが何故だろう。
「ほぉー。もしかしてW今日もWですか?」
何が、とは言わない。僕も平然とした表情でそうなんです、と返事する。
「毎日大変ですね。…ところで今からお茶でもどうです?」
ここは人通りの多い道なので、ストーカーが急に何かしてくる事はないだろう。僕は少し考える素振りをしてから笑顔を沖矢さんに向けた。
「そうですね。では行きますか」
こうしてまた今日も沖矢さんと時間を潰す事になった。ゼロくん、後は頼んだよ!
「貴方も大変ですね」
アイスティーで喉を潤していると、ふと沖矢さんが感慨深げにそう呟いた。
「…まあ、そうですね。でも、色々と分かった事もあります」
数日のストーカーで、大体相手の事が分かってきたのは事実だった。
「ほぉ。例えば何です?」
「相手はきっと門限などのある家に住む女性ですね」
そうなのだ。長い間歩いていたり、どこかに立ち寄って時間を潰していると、必ず相手の方が先にいなくなるのが分かった。つまり相手は時間制限があるという事だ。
「決まって夜のシフトから付けられてるので、そこから割り出せるのは…学生、ですかね」
大人なら特別な事が無い限り門限などはないだろう。さらに朝や日中はストーカーされない事から、相手は学生さんと言う線がとても強いと言うのが僕とゼロくんの考えであった。