メーデーメーデー!12

「…ほぉー。学生、ですか」

「多分ですけど。寮に住んでるとか、そういう環境の人だと思います」

 まあそれに関してもきっと今日で全てハッキリするだろう。ゼロくんの情報収集能力の高さは本当に驚く程だから。

「なるほど。ある程度相手を割り出して来てるんですね」

 流石探偵ですね。と淡々と言う沖矢さんに少しばかり違和感を感じたが、特に追求する事も無くにっこり微笑み返しゼロくんの連絡を待つ。

 きっとゼロくんの事だから、終わったら速攻で携帯電話に連絡してくると思う。…何せ今相手してるのは、ゼロくんが最も警戒している男…沖矢さんなのだから。

 ちなみにカフェに行くことになった瞬間、ゼロくんからすぐにメールが届いていた。内容は言わずもがな、こっちが終わったらすぐソイツから離れろ───だった。うーん、何故こんなに毛嫌いしているのか未だに謎である。

「そう言えば…沖矢さんはこの辺りに何か用事があったんじゃないんですか?」

 暗に僕と一緒に居ても大丈夫なの?と聞いてみると、沖矢さんは何でもないふうに言葉を紡ぎ出した。

「ああ、この辺りに中々良いと評判のバーがあると聞きましてね。ちょっと探していたんですよ」

「バー?沖矢さん、お酒飲むんですか」

「ええ。こう見えて結構酒好きなんです」

 へえ、意外。とアイスティーを啜りながら沖矢さんの言葉に相槌を打つ。

「何でも飲むんですか?」

「そうですね…最近はバーボン一筋ですかね」

 バーボン。それって確か…。

「へえ、ウイスキーですか!結構度が強いのによく飲めますねぇ」

 琥珀色のそれを思い浮かべながらそう言えば、沖矢さんは何処と無く真剣な表情で此方の様子を窺っているようだった。僕はきょとりと瞬きを繰り返す。

「あれ、バーボンってウイスキーじゃなかったです?」

「───いいえ。ウイスキーで合ってますよ」

 数分遅れでニコッと笑みを浮かべる沖矢さん。…何だろう、この違和感。なんか…もしかして試されてた?

「ところで安室さんはお酒、飲まないんですか?」

「あー…嗜む程度ですかねー」

 いや、本当はお酒を飲んだ日には記憶がぶっ飛ぶくらいに弱い。だから前は付き合いで飲みに行ってもノンアルコールかソフトドリンクばっかりだった。そしてドライバーに徹する。これ基本。じゃないと、本当に手が付けられない…らしい。記憶が無いため何があったかは知らないが、前に一緒にお酒を飲んだ同僚から飲酒禁止令を言い渡されたので相当酷かったのだと思われる。

 だから本当なら飲めないのだか、ゼロくんは普通にお酒が好きな様なので一応嗜む程度と言うことにしてあります。一応ね。

「嗜む程度、ですか。それではいつか一緒にお酒飲みに行けるといいですね」

「…そうですね!」

 僕は飲めないですけどね!とは言えなかった。


 

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