メーデーメーデー!15

「まあ、それは置いといて。ストーカーについて結構色々分かったぞ」

 降谷はどかりとベンチに腰掛けながら秋良も隣に座るようぱしぱし叩いて促す。

「そうなんだ。…で、どうだったの?」

 降谷の隣に腰掛け秋良は話の続きを促す。すると神妙な表情のまま、降谷は胸元から携帯電話を取り出すと画像フォルダから一枚の写真をタップし秋良へ見せた。

「名前は佐藤夏子。帝丹高校に通う高校3年生。帝丹高校の寮に住む女子高生だったよ」

「じょ、女子高生…」

 思ったよりも若い犯人に、秋良は目を見開いて驚いている。

「まあ、一目惚れ…とかそういうのだろうな。何度かお店にも来ているだろ?」

 写真の彼女は黒髪のロングヘアで、黒縁メガネの真面目そうな女の子だった。

「…確かに、何回か来てる」

 毎回レモンティーを頼んで読書したりして時間を潰していたような気がする。でも、それだけだ。何か特別話したり接触した覚えは一切ない。

「俺の方も一回だけある。…どっちに惚れたにしろ面倒臭いものには代わりないな」

 背もたれにぐてっともたれながら降谷は深い溜息を吐いた。

「相手が未成年だし、あんまり公にはしたくないんだが…これ以上ストーカーされても困る。どうしたものかな」

 ふう、とどこか遠くを見詰める降谷に、秋良は静かに声を掛けた。

「その子はどうして僕達をストーカーする様になっちゃったんだろうね」

「…さあな」

「何とかその子を傷付けずに諦めさせる事は出来ないのかな…」

「………」

 二人の間に沈黙が流れる。

 どういう理由にしろ、ストーカーという行為は許されるものでは無い。幾ら相手に好意を抱いているからといって、付け回したりしてはいけないのだ。どうにかして相手にその事を理解して貰って、ストーカーを止めさせることは出来ないものか…。先に口を開いたのは降谷の方だった。

「…諦めさせる方法はないわけではないけど、一歩間違えたらストーカー行為が悪化する場合もある」

「例えば?」

「特定の恋人を作る。それにより諦める可能性も無きにしも非ず。…その佐藤夏子さんは、自分の容姿に劣等感を抱いているようなんだ。だから…あー、まあ、申し訳ないけど、自分には叶わないって思うレベルの彼女がいたら諦める可能性もある」

 なるほど。確かにそれは有り得るかもしれない。でも、一歩間違えたら相手にも迷惑が掛かるし、そもそも…。

「相手、いないよ…ね?」

「──んー…まあ」

 微妙な返答に、これは探せば居るけどというニュアンスだと気付く。じとりとした目を向けると、何だよと言いたげなムスッとした降谷と目が合う。

「これだからイケメンは…!」

 ぷくっと頬を膨らませて拗ねて見せれば、今はお前も同じ顔だろとど突かれてしまった。


 

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