名探偵の受難01
暖かい風が心地良い晴れ渡ったとある日曜日。この日、コナンは神妙な面持ちのまま、足早に工藤邸に足を運んでいた。勝手知り尽くした我が家のチャイムを鳴らし、待つこと数分。がチャリと音を立てて開いた扉から沖矢昴に扮した赤井秀一が顔を覗かせた。
「こんにちは、昴さん」
「──おや、コナン君でしたか。こんにちは。どうかしましたか?」
「ちょっと用事があったから寄ったの。入ってもいい?」
にっこり人好きのする笑顔を浮かべるコナン。ええどうぞ、と家へと促すと、ありがとうというお礼と共に足早に入っていった。
そんなコナンの後に続く赤井。リビングに一直線に駆けて行った彼を追うと、先程とは一転してどこかむすりとした表情のコナンがソファーに腰を掛けて待っていた。
「…それで、今日はどうしたんだ?」
変声期のスイッチを切ってそう尋ねれば、どうもこうもないよ!とコナンは口を開き始めた。
「赤井さん、一体いつの間に安室さんと仲良くなったの!?」
その言葉に、赤井は一瞬きょとりの目を瞬かせる。
「僕、昨日見たんだからね。仲良く一緒に帰ってる所」
「…ああ、それか」
どうやら昨日、秋良と並んで帰っている所を目撃されていたらしい。特別何かあった訳では無いが、どうやらコナンにはいつの間にかW仲良くWなったように見えたらしい。
赤井はふむ、と顎に指を添えた。
「別にボウヤに隠してた訳では無いが…。まあ、あっちの彼には順調に近付けていると思うぞ」
地道に警戒心を解くというプランだったので、それは順調に進んでいる。ある程度秋良は沖矢に気を許していると踏んでいた。そこから何か情報が得られるかは分からないが、今の所はびっくりするくらい順風満帆だった。
しかし、コナンはまだ納得していないらしく、再びどこか不機嫌そうな顔で言葉を紡ぎ出す。
「仲良く帰っている様子を蘭に伝えたら、すっげえテンション上がってたんだけど」
「ほぉー?」
「どうしたのって聞いたら、あの二人付き合ってるのよ…って。そこから安室さんと昴さんにあった事全部聞いちゃったんだけど…ねえ、一体どういう事?」
成程。あの日あった事も全部聞いたらしい。赤井はゆるりと上がる口角を隠しもせず、どこか楽しそうに口を開いた。
「まあ彼女はあの場をずっと見ていたから、それに間違いは無いだろうな」
「って事は本当にキスしたの!?」
唖然とした様子のコナンに、赤井は口角を上げたまま目を細める。
「…キスは、本当だ」
「えええええっ!?」
赤井の妙な色気に当てられて一瞬顔を真っ赤に染め上げたコナンだったが、すぐにその言葉に変な引っ掛かりを覚え首を傾げた。