零度の微笑み04
コナンと和気藹々と話し終わった後、これまた完全に沖矢をスルーして仕事に戻っていった安室。それを見たコナンは、漸くそこで沖矢に声を掛ける事が出来た。「──もしかして、今日の安室さん…本物?」
「そのようですね」
空気と化していた沖矢は、やれやれと言いたげに肩を下げるとアイスコーヒーに手を掛ける。
喉を潤してからひとつ溜め息を洩らすと、コナンは困ったようなから笑いを浮かべていた。
「そっか、だから昴さん会話にも入らずに静かにしてたんだね」
「ええ」
ひそひそと小さな声で会話する二人。声を潜めるのは勿論、安室に聞こえないようにする為である。
「じゃあ安室さんの今日の目的はおっちゃんに会いに来たって感じかなー?」
先程の言葉から推測するに小五郎に会いに来たのは本当なのだろう。…まあ、今日は会えないのできっとまた後日に会いに来るのだろうが。
「でも昴さん、良く今日の安室さんが本物って気付いたね」
もぐもぐと残りのハムサンドを咀嚼しながらそう問い掛ければ、沖矢はさも当たり前と言うように言葉を紡ぎ出した。
「本物も何も、二人は全然違うでしょう?」
全くの別人。そう言い切った沖矢に、今度はコナンが目を丸くする番だった。
「えっ、そう?何だか今日の安室さんは物腰柔らかくていつものあの人に似てたけど…」
「全然似てないですよ」
「…そう、かなぁ?」
どうやら沖矢は完璧に二人を見極めているようだった。まあ、沖矢に対しての秋良と降谷の態度がまるで違うので当たり前なのだが。そう伝えれば、少しの逡巡の後コナンはにっこり笑って口を開いた。
「ははっ、実は安室さん二重人格だったりして」
「…勘弁してくれ」
思わず赤井口調になってしまったが、確かに有り得ない話ではなかった。もしこれで同一人物だと言うなら、降谷がWツンWで秋良がWデレWだ。外見がそっくり過ぎるので、二重人格説も捨て切れないのが今の現状である。
「んーまあ、どこかで二人に会えたら確実なんだけどねー」
二人でいるところに鉢合わせるか、それか全く別々の所に同時に現れるかすれば分かるのだが…。
「まあ中々尻尾は出さないだろうね」
そう言ったコナンの言葉に、沖矢もアイスコーヒーを飲みながら頷くのであった。