フラグ回収です04
「よく僕達が二人居るってって気付きましたね」流石ですね、とバレて吹っ切れたような顔をしている秋良に、沖矢は肩を竦めてみせた。
「よく見れば分かることですよ。…ところで、貴方の本当の名前は何ですか?」
「…僕の方がW安室透Wでは無いと、沖矢さんは考えてるんですね」
どこか楽しげに目を細めながらそう言葉を洩らした秋良に、沖矢は確信を持って頷いてみせた。
「貴方の方が後から現れましたよね?」
「…へえ、なるほど。貴方は本当に僕達を見分けているわけだ」
完全に見分けられていることに秋良はうんうん、と嬉しそうに頷いてからにっこりと笑みを浮かべる。
「秋良です。安室秋良」
名字だけは偽名にさせて貰ったが、名前は正直に答えた。ここまで自力で辿り着く人間など今までいなかった。秋良には知り合いらしい知り合いなどいないし、実質この名前を教えたのは三人目になる。
「秋良さん、ですか」
「はい。改めてよろしくお願いします」
左手を差し出して握手を求めると、沖矢は少し間を開けてからその手を握り返してくれた。
「僕が左利きだと良く気が付きましたね」
手を離しながら沖矢がそう言うと、秋良はきょとりと瞬きを繰り返してから当たり前だと言うかのように言葉を紡ぎ出した。
「だっていつもコーヒーカップ掴む手は左手でしたし。ドア開けたりとか結構左手使ってましたよ?」
左手を使っていたのは無意識だったが、恐らく一般人であろう秋良がそこまで観察眼があったなんて思わなかった。沖矢は感心したような声を上げる。
「良く見ているんですね」
「そうですか?沖矢さんとは何度もお茶しに行きましたし、それでですよ」
ふんわり人好きのする笑みを浮かべる秋良。
こう改めて対峙してみると、やはり秋良の方が雰囲気が柔らかいなと沖矢は思った。安室の方がやはりどこか鋭さを感じる時がある。二人並んだところは見たことないが、きっと並んでも沖矢は見破る自信があった。…まあそんな機会、来るとは思えないのだが。
「ところで気になっていたんですが、安室さんと秋良さんの関係は?」
まさか赤の他人とは考えていない。ここまでそっくりなのだから。
「透とは兄弟ですよ。ちなみに僕の方が兄です」
ふふふっと楽しそうに笑う秋良。成程、兄だったかと頷く。
「まあ色々あって、最初はコソコソしながら透にバレないようにしてたんですけど…。下手な変装してたせいか即バレして、今透の家にお世話になってるんです」
あながち嘘ではない理由を話しながら秋良はひとつ溜め息を吐いた。
「我が弟ながら優秀過ぎて末恐ろしいですよ」
ははは、とから笑いを浮かべる秋良。沖矢も安室の優秀さは買っているので何となくその笑みの理由も理解出来るのであった。