敵か味方か02

 今日は散々な一日だった。

 まさか楠田陸道を訪ねて病院に訪れたのに、本人がいないどころか殺人事件に巻き込まれてしまったのだから。

 しかし、だから逆に収穫もあった。

 ───コナン君は楠田陸道について何か知っている、と。

 そして、それはバーボンに知られてはダメだと判断している。

 口の軽そうな高木刑事にさらりと問い掛けてみたら案の定、爆発騒ぎの何日か前に破損車両が見つかって、それが楠田陸道のであったと口を滑らせてくれた。しかも車内には大量の血痕があったと。…血痕の飛沫が1mmにも満たないものがあったと聞いた時にすぐにピンと来た。

 ───1mmにも満たない高速の飛沫血痕…拳銃か、と。

 パズルのピースは徐々に集まりつつある。ひとつひとつピースがぴたりとはまる感覚は高揚感にも似ている。

 ───赤井秀一。あの男がそう簡単に死ぬ筈が無いと思って調べてみると不可思議な点がいくつかあったのだ。

 何故、爆破炎上した赤井の遺体から指紋が採取出来たのか。

 手が防炎加工されたズボンに入っていたからと推測されているが、やや不自然だ。…まるで、わざとそうしたかのような…。

 何より赤井の指紋がコナン君の携帯電話から得られた物というのも引っかかる。

 水無怜奈…キールの件でもいくつか不審点はあった。

 赤井を仕留めたのもキール。ジンとウォッカもそれを遠くで確認していたようだが、何かきっとカラクリがある筈だ。

 そう、きっと何かカラクリがある。

 例えば、あの少年…コナン君。小学生とは思えない洞察力と思考力。カラクリの根本にはきっと彼が絡んでいる。

 よく分からない発明品を扱うあの博士も怪しい。協力者として関わっている筈だ。

 どちらにせよ、確信が得られるまでは接触しないに越したことはない。特にカンの鋭いコナン君には極力近寄らない方がいいだろう。

 少しずつ。でも着々と。地道に集める証拠が揃えば、言い逃れは出来ない。

「…追い詰めてやるよ、赤井秀一」

 見えない所で高みの見物しているようだが、今に引きずり下ろしてやる。そして組織の中枢へ食い込む踏み台にしてやるのだ。




「…スコッチ」

 忘れられないあの思いを胸に、執念に燃えたブルーグレーの瞳を空へと向けた…。


 

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