こんにちは異世界02
燦々とした太陽が庭に植えられている木々を照らし、時たま吹き抜ける風で揺れ動く葉っぱの様子を窓越しに眺めながら秋良は深い溜息を吐く。「外…出たいなぁ」
風が心地よさそう…と切々と吐き出された言葉に、近くのソファーに腰を下ろしていた広末は胡乱気な瞳を秋良に向けた。
「だからリハビリがてら散歩でも行ってくれば良いじゃない」
「…近所に住んでるこの顔の人に会ったらどう説明するんです?」
恨めがましそうな表情で広末を見詰めると、会ったって死にゃしないわよとケロリと言う。
「まあ、そうですけど…」
「それにその顔の持ち主、忙しいのか滅多に家に帰って来ないみたいだし」
セカンドハウスでも持ってるのかしらね、なんて軽々と言う広末。いや、世の中の人はそんな簡単にセカンドハウスを持たないと思いますけどと秋良が小さく洩らした。
「引越ししたとかは無いんですか?」
「んー?たまーに車がこの辺通るし…引越しはしてないんじゃない?」
「車まで特定してるんですか…」
この人ストーカーなのかな、と一歩下がった。
「…言っとくけどストーカーでも何でもないからね」
「いや、まだ何にも言ってないですけど」
「彼、凄く目立つのよ」
やや強引に話逸らされた。しかし広末は何でもない風にコーヒーをひと口飲むと、カチャリとコーヒーカップをソーサーに置いて儚げな表情で外を見詰める。
「そのW彼W、良くマツダのRX-7に乗ってるのを見掛けるのよ。この辺って割とセレブな人が住んでるしお金持ちなのかしらね」
良物件だわ。なんて言う姿に秋良は呆れ返った。
「いやいやいや。めっちゃガッツリ見てるんじゃないですか」
「目の保養よ」
ズバッと言い切る広末。その姿に秋良もはっと息を呑む。
「も、もしかして僕をこの姿にしたのって…」
「目の保養よ」
なんて人だ…!と秋良は項垂れる。そんな秋良を物ともせず広末は飄々と言い放った。
「どうせならタイプの顔にしたいじゃない?」
「ひどい…!」
こんな不純な動機でこんなイケメンにされたなんて…と、また秋良はさめざめと涙を流すのであった。