敵か味方か07

「まさか!あの男が生きているって言うわけ?」

「ええ。僕の推理が正しければね」

 あのライ…いや、赤井秀一が生きてる?そんなまさか、とベルモットは声を上げて笑った。

「残念だけど、その推理は的外れよ」

 面白おかしく笑いながらバーボンにそう話し掛ける。

「だってあの男の死亡は確認されてるんだもの。しかもそれを確認したのは日本の警察で、それを確認させたのはFBIよ」

 しっかりと行政の機関が赤井の死亡の確認をしたのだ。そして双方が赤井秀一と認めて彼の死亡が確定された。

「前に言ったわよね?キールが来葉峠で頭を撃ち抜いて車ごと焼き払った赤井の指紋と、あの探偵坊やの携帯に残っていた赤井の指紋が一致したって」

 指紋もしっかりと確認されているのだ。赤井秀一本人のものだと、絶対的に揺るがない証拠がある。だから生きているはずが無い、とベルモットは言う。

 それでも、バーボンの顔から余裕の表情は消えなかった。

「なるほど。でもどうして焼死体から指紋が取れたんですか?」

 飄々と、平然としたままベルモットに問い掛ける。

 本来なら指紋も何も火に焼かれてなくなってしまうはずだ。皮膚などすぐに焼けてしまう。それなのに何故指紋が採取出来たのか。それにはしっかりとした理由があった。

「それは耐火加工されたズボンのポケットに手を突っ込んだまま焼かれたからよ。…そういう男なのよ」

 耐火加工のズボン。だから焼けなかった。そう言うなり、ベルモットは何かを思い出して苦虫を噛み潰したような苦い表情を浮かべた。

「ショットガンで私を撃った時も片手はポケットの中だったし」

「ほぉー。片手でショットガンを。奴らしい」

 あんな反動のある銃を片手で撃つのは中々難しいのにそれをやって退けたとは。バーボンは皮肉そうに笑う。

「だが、後で指紋が採取出来るようにわざと遺体の手を入れていたとも考えられますよね?」

 それでも中々認めないバーボンに、ベルモットは呆れたように溜め息混じりに口を開いた。

「そんなに疑うなら、赤井が撃たれた時の映像見てみる?」

「ああ、キールが首に付けていた隠しカメラで撮ったとか言うムービーの事ですね?」

「そう。そのムービーにあの男の息の根を止めるところがしっかり映っているわ」

 しっかりと、赤井の死にゆく様が映されたムービー。赤井が死んだと確定させる決定的瞬間を捉えたものだ。


 

top