敵か味方か11
来葉峠への道のりは長い。辺りは暗く人の気配もない。あるとしたら獣の類いだろうか。今のところそういったものに出会ってはいないが。「…………」
峠独特のうねる様なカーブを走り抜けながら、ジョディは必死に考えていた。
───指紋…。
ジョディは自身の指先を見て、ハッと息を飲んだ。
「───コーティング。そうよ、きっとあの時シュウは透明な接着剤か何かでコーティングしてたのよ。念を入れて両手の指先を」
「ええ?!どういう事ですか?」
車を運転しながら、キャメルは驚いたように声を上げた。
「コナンくんの携帯を掴んだ時よ。コーティングしておけば、自分の指紋を携帯に付けずに済むから…。だからあの時シュウは缶コーヒーを落としたんだわ」
缶コーヒーを目の前で落としてしまっていた時があった。あの時何故缶コーヒーを落としたのか少し引っ掛かっていたのだ。でも、指先がコーティングされていたと考えるなら納得がいく。
「指先がコーティングされていたせいで、滑りやすくなっていた為に…」
───落とした。
少しずつ謎を解いてゆくジョディに唖然としながら、キャメルはあの時の情景を思い出していた。
「じゃあ…あの携帯に付いた指紋は?」
赤井秀一の死亡の決定的証拠になったあの指紋。赤井の指紋では無いと言うなら、コナンの携帯電話から出たあの指紋は一体何だったと言うのか。その疑問を口をすればジョディは確信に満ちた声でこう答えた。
「シュウのじゃない。その前に手に取った楠田陸道の指紋よ」
楠田陸道。ここ何日かで何度も聞く名前だ。コナンがあそこまで楠田の死を隠そうとしてきた理由が漸く見えてきた。
「という事はつまり…来葉峠で頭を撃たれて車ごと焼かれたあの遺体は…」
「ええ、楠田陸道の遺体だったって訳。状況はよく分からないけど、恐らくシュウは自分と同じ服を着せた遺体を車に載せていて、水無怜奈に撃たれたフリをしてタイミング良く遺体とスリ変わったんだわ」
「っ!?」
そんな事が可能なのか…。そう思い息を呑む。バックミラーに映る不審な車には気付かないまま、二人は赤井が殺されたとされる場所へ車を走らせて行った…。