そういうイベント 

「あ、あれっ?あれ」


白石君の脚が私の脚に絡みついてきた。
動かそうにもうまいこと絡められていて動けない。
おいおいなんなんだ、この長い脚は!?
脚と同時に、白石君の手が私のお腹あたりに伸びてきている。

色々ありすぎて混乱していると、耳元で白石君の息遣いを感じた。


「名前ちゃん」

「んんんお!?白石君、近っ…ちょ」

「なにが?これ夢なんやろ?」

「それは冗談で言って…ひっ」


白石君の熱い吐息と共に耳の裏にキスをされて、それにビックリして腰を反らした。
なんだ?なんで今腰が反応したんだ?耳にキスされたのに、何故腰に変な感覚が。

体しっかりしろよと思ってたら、背後の白石君が今度は耳をついばむようにキスしてきた。
そのせいで腰が跳ねる跳ねる。魚や!


「まっ、待って!まってまって!」

「ん?」

「あの、腰がくすぐったくなるから!耳触るのやめて…!?」

「腰?耳触ってるのに、なんで腰にくるん?」

「いや知らんけど!ぞわぞわってするからやめて…」

「それ、いやなん?」


そりゃあ、いやなんじゃ…?
ぞわぞわってして、腰を反らさずにいられないくらいの不快感……とは違う、不快感はない。
白石君に耳を触られるのは、特に不快な事ではない。もちろん白石君以外にされたら不快だとも。

でもそのせいで反応してしまう腰が、この感覚が気にくわない…くすぐったいというか、なんというか、変な感じになる。

白石君に触られるのは嫌じゃないけど、変な感覚はあまり好ましくないからやんわり断ろう…


「あの…白石君にキスされるの嬉しいよ」

「ほんま?」

「はい。でも耳にされると腰が変な感じするから…耳以外にしてくれると」

「ほな、こことか」

「んぬわっ」


どういうわけかうなじにされて、随分と気持ちの悪い声が出た。

確かにうなじは耳以外ではあるが、せやかてうなじよ?そこは耳よりもあかんところじゃないか?
うなじとか妙にヤラシイ響きのところにするって何事よ。


「耳以外って言うのは、ほっぺ、ほっぺとかの事なんで」

「俺の夢の中やのに、相変わらず名前ちゃんはガード固いな?」

「現実!めっちゃ現実です!!」

「あ〜やっぱ現実なんか〜」


白石君は残念そうに笑いながら、私の背中に向かって頭をグリグリ擦りつけてきた。
なんかさっきの私みたいに甘えてきてるな…私への当てつけか?

と思いつつ甘えられて非常に嬉しく思っていると、お腹辺りにあった白石君の手がポンポンっと私のお腹をさすった。


「こっち向いてくれる?」

「そお…れは、ちょっと」

「でも背中向けられてたらほっぺにキスでけへんで」

「え…あ、じゃあ!ほっぺの代わりに…」


私のお腹ら辺にあった白石君の手を握って、そのまま口元まで持っていった。
大きくてあったかくて、すらりとした長い指。
白石君ってどこもかしこも綺麗で憧れるけど、ケアしてなくてこれだったら憤慨なんだけど…

綺麗な手にジェラシーを感じながら、爪の付け根あたりに唇を当てた。
自分でほっぺと言っておきながら白石君の方を向きたくなくて意味のわからない事をしてしまったが、手にキスならあまり恥ずかしくない。

でも面と向かって手にキスはしんどいな。今は白石君に背を向けてるからか…


「すみません、どうかこれで許してください」


キスした後に白石君の手を離そうとしたら、ぎゅっと手を握りしめられた。
やはり手にキスじゃ納得いかなかったか…?

恐る恐る声をかけると、しばらく黙っていた白石君が弱々しく耳元で囁いてきた。


「ごめん………もっかいしてくれる?」

「えっ、もっかい?」

「なんかめっちゃ良かったから…あかん?」

「あ…ううん、いいよ」


手にキスするのは特に抵抗がなかったので、素直に先ほどと同じことを繰り返した。

なんかめっちゃ良かったって、良かったんか…?
海外の映画で女性の手の甲にキスする男性はよく見るけど、立場が逆だもんな。新鮮で良いって意味かね…


「名前ちゃん、しばらく手にキスしててくれへん?」

「いいけど……そんな良いん?」

「せやな、結構好きかも」


落ち着いた、でもちょっと嬉しさを隠しきれていないような不安定な声で言った。
ハンドキスが気に入ってもらえたとは…リピートされたって事は悪くなかったって事で良き?

白石君が好きって言ってくれるなら、する価値はある。むしろ何回だってするさ!そっち向くくらいならね!
しばらくしてほしいとの事だし、手の甲とかにもキスする範囲広めてみよう。

白石君に言われた通り、しばらく手にキスをし続けた。くっつけたり、軽く吸い付いたり。
謎タイムだな〜なんて思いながらキスをしていると、急に白石君が起き上がった。

それはもうガバッと。


「どうしっ……たん」


ギシッとベッドが弾んだかと思えば、いつの間にやら私の上に覆い被さるように跨っていた白石君。
半ば無理やり仰向けにされて、びっくりした心臓がどくどく鳴り響く中、白石君の辛そうな表情が見えた。

窓の外はもう、すっかり明るい。


「名前ちゃんごめんな。せやけど俺、ここまでよう我慢した方やで?」

「ちょ、ちょっとまって」

「ごめんやけど、もう抑えられへんわ」

「しらいs『デデデデッ デデデェデ デデデデェーーン!この頃はやりの女の子〜♪


唇と唇の先がかすれる程の距離まで白石君の顔が迫ってきた瞬間、机の上のスマホから大音量のキューティーハニーが鳴り響いた。


お尻の小さな女の子〜♪こっちを向いてよハニ〜〜だってなんだか だってだってなんだも〜〜


爆音にビクリと体を反応させた白石君は、閃光の速さでベッドを降りてスマホから鳴り渡る音を切りにかかっていた。

なるほどアラームにキューティーハニーか…
前奏の迫力がすごいから起きられそうでいいなぁ!私も真似しよっと!

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わらびもち

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